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プレスリリース概要

2023.10.06

植物の根毛側面に細胞壁成分を輸送する経路を発見 ~根毛はなぜ細長い形を維持できる?~

京都府立大学 生命環境科学研究科
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
金沢大学 ナノ生命科学研究所
熊本大学 大学院先端科学研究部
 
植物の根毛は、細長い形状を維持しながら伸長します。これは、先端が伸長すると同時に、根毛側面部分は、二次細胞壁が形成されることで、その膨張が抑制されるためです。しかしながら、根毛側面に二次細胞壁成分を輸送する分子機構については、全く明らかになっていませんでした。この度、京都府立大学の平野朋子准教授、佐藤雅彦教授らを中心とした共同研究グループは、モデル植物シロイヌナズナを用いて、根毛の側面部分に二次細胞壁成分を輸送し、根毛側面を硬くすることで、根毛が細長く真っ直ぐ伸びながら、その形を維持する仕組みを解明しました。

今後、この仕組みを活用して、側面強度を増強した長い根毛を持つ植物体を作出するなど、栄養源が乏しい土壌中から効率よく栄養を吸収できる植物体を開発できる可能性があります。

本研究成果は、国際学術誌 “The Plant Cellに 2023年9月15日にオンライン掲載されました。
論文タイトル:The SYP123-VAMP727 SNARE complex is involved in the delivery of secondary cell wall components for hardening the root hair shank in Arabidopsis
著者:Tomoko Hirano, Kazuo Ebine, Takashi Ueda, Takumi Higaki, Takahiro Watanabe-Nakayama, Hiroki Konno, Hisako Takigawa-Imamura, and Masa H. Sato
doi.org/10.1093/plcell/koad240

fig2.jpg . 研究成果の概略図
伸長中の根毛では、SYP123とVAMP721の複合体や、SYP132とVAMP721の複合体が働く「先端成長のための物質輸送ルート」とSYP123とVAMP727の複合体が働く「側面の硬化と成長抑制のための物質輸送ルート」が存在する。