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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

大学院

シラバス

進化環境生物学1

進化環境生物学1
前期
1 単位
47 基礎生物学コース
亀井 保博、滝澤 謙二、長谷部 光泰、皆川 純、森田(寺尾) 美代、横野 牧生
A,B,C,Dの4段階評価
レベル:Level 3
力量:専門力
 
■授業の概要
(第1回)※担当:亀井
生物と光環境の関係を概説し、様々な生物がその置かれた環境に対応して光をどの様に受容し、利用しているかを光受容体の研究を軸に解説を行う。また、生物学研究において光受容体や光関連タンパク質を上手く利用して顕微鏡観察に応用している例を使って顕微鏡技術も概説する。特に近年発展しているオプトジェネティクスに関して光受容体と細胞操作技術に関して解説を行う。
(第2回)※担当:皆川・横野
植物や藻類で行われる光合成について、太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する明反応を中心に、反応の基本原理、分子基盤、分子メカニズム、および解析手法について概説する。また,環境にあわせて光合成反応がいかに調節されているか、環境との関わりが光合成生物にいかに進化をもたらしたのか、光合成反応が環境にいかに影響を与えているか等、植物や藻類をとりまく光環境という視点から解説を行う。
(第3回)※担当:森田
植物は環境刺激を受容し、自身の発生や成長を制御することで環境に適応する。本講義では、環境応答としての植物の運動とそのメカニクスを概説する。また、環境刺激として重力を取り上げ、刺激受容機構、情報伝達の分子機構、また成長制御を支える植物ホルモンの働きとその分子機構について解説する。
(第4回)※担当:滝澤
地球上の様々な環境下に多様な植物が適応しているように、地球以外の惑星においてもその環境に適応した植物が存在する可能性がある。本講義では地球を含めた全宇宙における生物の誕生・進化・伝播を理解しようとするアストロバイオロジーについて概説し、太陽系外惑星の環境とそこに存在し得る植物の特性について解説する。
(第5回)※担当:長谷部
植物は約5億年前に地上に現れ、多くの種の繁栄と消長を経て、現在、コケ植物、小葉植物、シダ植物、裸子植物、被子植物の5つの群が生き残っている。これらの陸上植物はどんな形態をしているのか、そして、それらの形態は陸上植物の共通祖先からどのように進化してきたかの概要を古生物学、ゲノム生物学、分子生物学、細胞生物学、発生生物学、系統分類学、進化学の知見を統合して考究する。そして、今後の植物形態進化研究における解くべき問題点をあぶり出すことを目的とする。
 
■到達目標
1.光環境と生物の応答を理解する。
2.光受容体の光反応を理解する。
3.光を使った生物学研究(顕微鏡技術等)を理解する。
4.光合成反応の基本原理を理解する。
5.光合成の環境ストレス適応機構を理解する。
6.光エネルギーを光合成に直接使えない理由を理解する。
7.光合成生物の光エネルギー蓄積について理解する。
8.物質生産にエネルギーの投入が必要な理由を理解する。
9.植物の重力応答とそのメカニズムを理解する。
10.光の生長や発生の制御機構について理解する。
11.重力・光応答の制御における植物ホルモンの役割について理解する。
12.惑星環境の多様性を理解する。
13.地球以外での植物の環境適応・進化の可能性について理解する。
14.陸上植物の代表的な種群の形態を理解する。
15.陸上植物の進化過程のどの段階でどのような形態形質が進化したかを理解する。
 
成績評価方法
達成目標1〜15のうち2点以上について調査あるいは見解をレポートにて期限までに提出した受講者のうち、要点を理解していると判定されたものに単位を認定する。出席は評価に入れる。成績は可否で示される。
 
授業計画
第1回 2023年6月13日(亀井教授;明大寺地区第三セミナー室)
13:00-13:45 生物と光環境
13:50-14:35  光と生体分子
14:40-15:25  光と生体分子
 
第2回 2023年6月20日(皆川教授,横野准教授;明大寺地区第三セミナー室)
13:00-14:30 光合成における環境適応
14:40-15:25  光と物質生産
 
第3回 2023年6月27日(森田教授;明大寺地区第⼀セミナー室)
13:00-13:45 植物の重力応答
13:50-14:35 植物の発生・生長と光環境
14:40-15:25 重力・光応答と植物ホルモン
 
第4回 2020年7月4日(滝澤准教授;明大寺地区第⼀セミナー室)
13:00-13:45 アストロバイオロジー
13:50-14:35 惑星の光環境と植物
14:40-15:25 惑星の水環境と植物
 
第5回 2023年8月8日(長谷部教授;明大寺地区第⼀セミナー室)
9:00-9:45 陸上植物の形態と進化 I
9:50-10:35 陸上植物の形態と進化 II
10:40-11:25 陸上植物の形態と進化 III
 
実施場所
講義は対面で行うがオンライン配信も行う
対面は明大寺地区第⼀セミナー室または第三セミナー室
 
使用言語
基本的に英語(受講生が全員日本語を母国語とする場合に限り日本語を用いる場合もある)。第5回は日本語。
 
教科書・参考図書
講義を受講し補助資料を読んだ上でさらに参考書が必要と考える場合は、各講師または科目責任者に相談すること。第2回の内容をさらに深く学ぶ場合は、参考書として「光合成(日本光合成学会編/朝倉書店)」を推薦する。第5回は、教科書(「陸上植物の形態と進化(裳華房)」を事前に参加学生が学習し、分担して発表を行い、担当教員がコメントしながら、重要な点についてさらに深く解説をする。
 
他コース学生が履修する際の注意事項
基礎生物学コース以外の履修希望者は、履修登録期間内に、岡崎統合事務センター国際研究協力課大学院係(r7139@orion.ac.jp)まで連絡すること
 
キーワード
Astrobiology, Environmental acclimation, Evolution, Extra-solar planet, Genetic regulatory network, Gravitropism, Morphology, Land plants, Life in the universe, Origin of life, Photoreceptor, Photosynthesis, Plant hormone, Plant movement, Stress response