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プレスリリース概要

2026.07.17

白黒のコマになぜ色が見えるのか ―200年の謎に、予測するAIが新たな手がかり―

自然科学研究機構 基礎生物学研究所
総合研究大学院大学
 
白黒だけで描かれた模様を急に動かしたり回転させたりすると、存在しないはずの色が見えることがあります。この現象は「主観色」と呼ばれ、約200年にわたり研究されてきた視覚の不思議です。なかでも「ベンハムのコマ」は、白黒の円盤を回すだけで色が見える代表的な例として知られています。基礎生物学研究所 神経生理学研究室の上田恭平大学院生(総合研究大学院大学 SOKENDAI特別研究員)、基礎生物学研究所 超階層生物学研究センター AI解析室のラナ・シナパヤ特任准教授(ソニーコンピュータサイエンス研究所 京都研究室 研究員)、基礎生物学研究所 神経生理学研究室の渡辺英治准教授(基礎生物学研究所 超階層生物学センター AI解析室 室長、総合研究大学院大学 准教授)の研究グループは、予測学習を行う人工ニューラルネットワークを用いて、この主観色現象の仕組みに迫りました。

研究グループは、自然や街の中を歩きまわる動画を入力し「次にどのような画像が来るか」を予測するように学習したAIに、白黒のベンハムのコマを入力しました。すると、入力画像には色の情報がまったく含まれていないにもかかわらず、AIが予測した画像には淡い色が現れました。さらに、この人工的に生じる色は、AIに学習させる動画の内容を変えることで変化することがわかりました。3Dコンピュータグラフィックス動画や赤・緑・青の四角形が動く単純な2D動画を学習させた場合の予測と比較することで、学習映像の中の「動く物体の色」によって予測に生じる色が変化することが明らかとなりました。これらの結果より、動きと色の結びつきを学習することが、白黒刺激から色を生み出す一因となる可能性が示されました。

本研究は、主観色が網膜だけで完結する現象ではなく、過去の経験に基づいて未来の視覚入力を予測する脳の働きとも関係する可能性を示すものです。白黒のコマからなぜ色が見えるのかという古典的な謎に、AIを用いた新しい手がかりを与える成果です。

本研究成果は、2026年6月16日に Scientific Reports 誌に掲載されました。
 
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白黒のベンハムのコマから、予測するAIが色を生み出すイメージ