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プレスリリース概要

2022.05.18

傷を治しに向かう細胞は、向かわない細胞より温度が高い -温度をシグナルに使った 細胞の振る舞い制御に糸口-

神奈川工科大学
慶應義塾大学
自然科学研究機構  生命創成探究センター
自然科学研究機構  生理学研究所
自然科学研究機構  基礎生物学研究所

神奈川工科大学創造工学科広井賀子教授と、慶應義塾大学大学院理工学研究科大学院生中村隆之(研究当時)、同大学理工学部舟橋啓教授、山田貴大専任講師、東京大学大学院薬学系研究科岡部弘基助教、及び自然科学研究機構生命創成探究センターの富永真琴教授、野中茂紀准教授、同基礎生物学研究所亀井保博特任准教授、坂本丞特任助教、谷口篤史博士らのグループは、傷を塞ぐために移動中の細胞は、移動しない細胞より1度以上温度が高いことを、2つの原理の異なる計測方法で確かめることに成功しました。同時に、動いていない細胞を狙って赤外レーザーで1細胞ずつ温めると、温められた細胞は移動を開始することを示すデータを取得しました。この研究成果は、細胞という微小な空間において温度差が生じることを堅固に裏付けた上で、さらにその温度差が生理的な機能を持ちうることを示唆しています。この方法を応用することで、治りにくい傷を早く安全に治療する方法の開発が期待されます。

本研究成果は学術雑誌 Optics continuum にて5月3日(米国東部時間)に公開されました。

fig1.jpg 図  蛍光寿命イメージング顕微鏡法により傷周辺の細胞間の温度の違いを測定した様子。写真の中で、温度が高い細胞は赤色、低い細胞は青色で示される。傷際の細胞は赤色で示され、他の部位の細胞より温度が高いこと、傷から遠ざかるにつれて細胞は青色に近づき、温度が低くなっていることが分かる。