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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

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プレスリリース概要

2021.11.22

光で活性化する組み換え酵素を、効率よく活性化する条件を発見

自然科学研究機構 基礎生物学研究所

動物の体の中では、様々な遺伝子が働いています。特定の遺伝子を、特定の場所・時間で操作できることは、遺伝子の働きを知るのに有用であるため、これまで様々な手法が考えられてきました。近年、光によって活性化され、配列特異的に遺伝子を操作できる組み換え酵素「光活性化型Cre(Photoactivatable-Cre; PA-Cre)」が報告され、注目されています。基礎生物学研究所の岸香苗研究員、小山宏史助教、藤森俊彦教授らは、東京大学の佐藤守俊教授との共同研究により、PA-Creのマウス個体での実用化を目指しました。光を当てた場所と時期だけで遺伝子組み換えを起こすことができるこの手法をマウス個体で実用化することは大変有用ですが、強い光を当て続けると細胞にダメージを与えることが課題でした。研究チームは、ES細胞や数理モデルを用いて、効率よく組み換えを誘導できる光照射条件を探索しました。その結果、短い間隔で光のON/OFFを繰り返す光照射を行うと、照射時間は半分になるにもかかわらず、連続照射(当てっぱなし)と同等の効率で組み換えを誘導できることがわかりました。本研究成果は、Genesis誌に掲載されました。
 
fig3.jpg図:PA-Creマウスと、Creで組換えが起こると細胞膜が黄色く光るマウスを掛け合わせた着床前の胚に、光をあてたものです。一部の細胞で組み換えを起こすことができました(左の胚)。黄色は組み換えが起こった細胞。青はすべての細胞核を染色しています。