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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

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プレスリリース概要

2016.08.10

細胞分裂方向のコントロールに関わる"にょろにょろ"と伸びる新しい細胞内構造を発見

 細胞分裂は生物の最も基本的なイベントの一つです。そして、生命現象の色々な場面で細胞分裂の方向が厳密にコントロールされることも良く知られており、古くから研究が行われています。

 今回、基礎生物学研究所の根岸剛文研究員、上野直人教授、フランス国立科学研究センターの安尾仁良グループリーダーらの研究グループは、ホヤの発生過程において細胞分裂方向のコントロールに働く、新しい細胞内構造を発見しました。今回の研究で、①この新しい構造は、細胞膜の一部が細胞分裂に重要な小器官である中心体に向かって“にょろにょろ”と伸びることで形作られること、②そして最終的に中心体を引っ張る力を持つようになること、を見い出しました。この張力が細胞分裂の方向を決めていると考えられます。このような細胞分裂に関わる細胞内の膜構造は、他の動物種においてもこれまでに報告がなく、細胞分裂制御の理解に全く新しい視点を与えます。この成果は、2016年8月9日にオープンアクセス科学雑誌eLifeに掲載されました。また、注目論文として同誌の"Insights"にて取りあげられました。

 

fig3.jpg

図 SBF-SEMによる膜構造の観察

青矢印で膜構造、赤丸・青丸のペアで中心体を示す。大きな球は核。スケールバーは10 µm。