基礎生物学研究所
2009.07.01
私たちの脳は、右眼と左眼それぞれから入力される情報を1つの像に統合する情報処理の仕組みを持っています。基礎生物学研究所の高畑亨研究員(現バンダービルト大)と山森哲雄教授らの研究グループは霊長類(マカクザル)を用いて、左右の眼の視覚入力バランスが大きく崩れた時、大脳皮質の一次視覚野で神経活動が変化し、今まで知られていなかった神経ネットワーク構造が可視化されることを新たに発見しました。この構造は、両眼視の情報処理と密接な関連があることが示唆されます。今後、この成果をきっかけとして、一次視覚野での情報処理ネットワークの全容解明に近づくことが期待されます。また、今回の発見はケガや病気などにより網膜が損傷した際に、脳の情報処理機能にどのような補償が生じるのかを理解する上でも重要な知見となります。この成果は、米国科学アカデミー紀要電子版にて7月1日~7月4日までに発表されます。