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2018年01月11日
不活性染色体の基盤構造を解明 〜癌、メタボリックシンドローム、感染症などをターゲットとした創薬研究に重要な基盤情報を提供〜

早稲田大学

沖縄科学技術大学院大学(OIST)

基礎生物学研究所

 

早稲田大学理工学術院の胡桃坂仁志教授と町田晋一研究院助教、沖縄科学技術大学院大学のマティアス・ウォルフ准教授と滝沢由政博士らの研究グループは、基礎生物学研究所の中山潤一教授と共同で、不活性化した染色体領域であるヘテロクロマチンの基盤構造を、最新のクライオ電子顕微鏡法の技術によって世界で初めて明らかにしました。

 

2017年にクライオ電子顕微鏡法の開発にノーベル化学賞が授与されましたが、日本ではこの技術による生体巨大分子の構造解析研究が立ち遅れています。今回の研究成果は、世界に先駆けて、染色体の遺伝子不活性化領域である”ヘテロクロマチン“の基盤構造を解明したものであり、染色体不活性化の不全による発がんや感染症の原因解明にも重要な一歩です。また本研究は、日本が立ち遅れているクライオ電子顕微鏡法によって成し遂げた成果でもあり、国際的に日本のプレゼンスを示す重要な成果です。

 

真核生物の遺伝情報であるゲノムDNAは、ヒストンと呼ばれるタンパク質との複合体として存在しており、コンパクトに折りたたまれて細胞核の中に収納されています。その折りたたまれ方の違いによって、ゲノムDNAの読み取りがオン(活性化)になったりオフ(不活性化)になったりする領域が作られています。本研究は、ヒト染色体で遺伝子が恒常的にオフになっているヘテロクロマチンの基盤構造を世界に先駆けて解明しました。ヘテロクロマチンにおける恒常的な遺伝子オフの破綻が、ある種の「がん」や「感染症」などを引き起こす原因となると考えられており、これらの疾病の発症機構の理解のみならず、これらをターゲットとした創薬研究に対しても重要な基盤情報を提供しています。

 

本研究成果は、2018年1月11日正午(現地時間)発行の米国科学誌『Molecular Cell』オンライン版に掲載(紙面掲載は2月1日(現地時間))されました。

 

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