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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

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プレスリリース概要

2020.03.13

細胞内の物流を促す分子のパスポートを利用したバイオ医薬品の生産向上

名古屋市立大学
自然科学研究機構 生命創成探究センター
自然科学研究機構 分子科学研究所
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
 
名古屋市立大学薬学研究科の矢木宏和講師と自然科学研究機構生命創成探究センターの加藤晃一教授(分子科学研究所/名古屋市立大学兼任)らの研究グループらは、血液凝固因子の分泌の仕組みに着目して得られた知見に基づき、バイオ医薬品として用いられている糖タンパク質に、細胞内を移動する分子のパスポートを持たせることでその生産効率を大幅に高めることができることを示しました。本研究成果は、日本時間2020年3月13日午後7時に、自然科学のあらゆる領域を対象としたオープンアクセス学術誌「Nature Communications」に掲載されます。

【本研究成果のポイント】
抗体やエリスロポエチンなどの糖タンパク質は広くバイオ医薬品として使われています。現在、これらの生物製剤のほとんどは、培養動物細胞を利用して生産されていますが、生産量を高めるために様々な方法が試みられています。本研究は、目的とする糖タンパク質にわずか10個のアミノ酸をつなげるだけで、その生産量を高められることを示したものです。本研究で見出された10アミノ酸からなる配列は、細胞内で作り出された糖タンパク質が細胞の外へと出荷されていく際の、輸送のパスポートとして働いています。
 
 fig.jpg 図:エリスロポエチンに細胞内の物流を制御するパスポート配列を付けることで、分泌効率が上昇する。