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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

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プレスリリース概要

2019.11.15

植物のユニークな細胞分裂の仕組みを解明

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所
北海道大学
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
名古屋大学
 
 
 細胞分裂はあらゆる生物の成長の根幹となる生命現象です。植物の細胞分裂は根や茎の先端で繰り返され、植物の成長は細胞分裂の効率に大きく依存します。植物細胞は細胞板で細胞質を仕切ることにより分裂します。この仕組みは細胞がくびれることにより分裂する動物細胞と異なっています。植物細胞が細胞板を形成して細胞分裂をする仕組みには未解明の部分が数多く残されています。
 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の小田祥久教授らの研究グループは、植物細胞が細胞板を効率よく作り出す仕組みを世界で初めて明らかにしました。本研究グループは、細胞板を作り出す装置に含まれるタンパク質「CORD4」を見出し、CORD4が細胞板の成分を運ぶレールである微小管を効率よく配置することにより、細胞板をより短時間で作り出していることを突き止めました。
 本研究により、植物のユニークな細胞分裂の仕組みの一端が明らかになりました。この成果は植物の細胞分裂の仕組みとその仕組みの進化の過程の解明に繋がる貴重な手がかりです。この仕組みを利用することで、農作物の生育を早める新しい技術に繋がる可能性も期待されます。

 本研究は、北海道大学電子科学研究所ニコンイメージングセンター、自然科学研究機構基礎生物学研究所、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)との共同研究として行われました。

本研究成果は、米国科学雑誌「Current Biology」に2019年11月14日午前11時(米国東部時間)に掲載されます。
 
論文タイトル: A novel katanin-tethering machinery accelerates cytokinesis
 (細胞質分裂を促進する新規カタニン係留機構の発見)
 
著者: Takema Sasaki, Motosuke Tsutsumi, Kohei Otomo, Takashi Murata, Noriyoshi Yagi, Masayoshi Nakamura, Tomomi Nemoto, Mitsuyasu Hasebe, Yoshihisa Oda
(佐々木武馬、堤元佐、大友康平、村田隆、八木慎宜、中村匡良、根本知己、長谷部光泰、小田祥久)

 
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図:正常な植物とCORD4を欠損した植物におけるフラグモプラストの様子