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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

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プレスリリース概要

2019.04.08

ほ乳類胚の胚が発生を一旦止める機構 〜胚の発生の休止と再開は領域により細胞間で異なる〜

多くのほ乳類において、受精後発生を進める胚が着床前の段階で一時的に発生を休止することが知られており、これは発生休止(遅延着床とも呼ばれる)と呼ばれる現象である。母親が置かれた環境が整うと、発生を再開する。

基礎生物学研究所 初期発生研究部門の亀水千鶴研究員、藤森俊彦教授の研究グループはマウス胚が発生休止に入る過程、休止中からの発生を再開する過程を細胞レベルで観察した。発生休止中の胚においても細胞の分化状態は維持されたままであるが、発生休止過程が複数のステップに分離できること、細胞周期の停止が胚の領域や分化形質によって異なることを明らかにした。また、発生休止からの再開においても胚の領域によって進み方が異なることから、発生休止を制御する機構が胚の領域によって異なることが示唆された。本成果はBiology of Reproduction誌に掲載された。

fig4.jpg図 発生休止シグナルの受容・反応に関する仮説
子宮からの発生休止シグナル(着床を受け入れないという状況)に対して、胚の領域によって細胞間で反応するタイミングが異なる。受容のタイミングや感度が領域によって異なる可能性(仮説1,2)、一旦非胚側のTEが受容したシグナルを別のシグナルとして放出し、それを胚領域で受容するという2段階のシグナルを介した可能性(仮説3)が考えられる。