基礎生物学研究所
2018.02.07
動物の体の形作りにおいて、大規模な細胞運動を伴う現象として原腸形成が知られています。原腸形成は、体の基本的な構造を確立する集団的な細胞運動として極めて重要です。基礎生物学研究所の林健太郎研究員と上野直人教授らはアフリカツメガエル胚を用いて、原腸形成時の移動する細胞集団における細胞内カルシウムイオン濃度の動態を詳細に観察することに成功しました。そして、細胞集団の先端領域だけで細胞内のカルシウムイオンの濃度が繰り返し高くなることを新たに発見すると共に、この先端領域に限局した細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が、原腸形成時の細胞移動を調節していることを明らかにしました。この成果は、2018年2月5日付けで英科学雑誌サイエンティフィックレポーツ(Scientific Reports)誌に掲載されました。
図. 原腸胚期の中胚葉の動き
将来、筋肉や骨を形成する組織である中胚葉は外胚葉を足場にして動物極側(矢印)に向かって移動している。
動画:中胚葉の細胞集団の先端領域で見られる細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇の様子