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プレスリリース概要

2014.03.21

自己細胞死を促すシステムの獲得が植物陸上化の鍵を握っていた! ~コケが水を運ぶ細胞や体を支える細胞を作る仕組みを世界で初めて解明~

 奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長:小笠原直毅)バイオサイエンス研究科 植物代謝制御研究室の徐波(Xu Bo)研究員、出村拓教授(理化学研究所チームリーダー兼任)と、理化学研究所環境資源科学研究センターの大谷美沙都研究員、豊岡公徳上級研究員、基礎生物学研究所の長谷部光泰教授らの研究グループは、コケ植物が、体内に水を運ぶ通り道の「通水細胞」と体を支えるための「支持細胞」という2種類の特殊な細胞を作る仕組みを明らかにしました。また、この仕組みの中では、自己の細胞を死なせて(自己細胞死)残った細胞の構造を利用するシステムが重要であることを、実験的に世界で初めて証明しました。原始的な植物で進化した体内の水を効率的に輸送する仕組みが、植物の水中から陸上への進出とその後の陸上での繁栄に必須であったという仮説を裏付けるものです。さらに、本研究によって、木質バイオマスを生み出す細胞である道管や繊維細胞が作られる仕組みが全陸上植物に共通していることが証明されたことから、本研究の成果は木質バイオマスの増産にもつながると期待されます。

 本研究の一部は文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「植物細胞壁の情報処理システム」および「複合適応形質進化の遺伝子基盤解明」、ならびに文部科学省「植物CO2資源化研究拠点ネットワーク(NC-CARP)」の支援を受けて行われたものです。この成果は、平成26年3月20日(木)付けの米国の科学雑誌Science電子版(ScienceExpress)に掲載される予定です。

 

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