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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

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プレスリリース概要

2008.12.11

植物種子の発芽エネルギー生成に必須な新規輸送体を発見

基礎生物学研究所 高次細胞機構研究部門の新井祐子研究員、林誠准教授、西村幹夫教授は、種子の発芽エネルギー生成に必須となるタンパク質PNC(ピーエヌシー)を新たに発見しました。植物の種子には脂肪やデンプンといった貯蔵物質が蓄えられており、植物は発芽に必要なエネルギーをこれらの貯蔵物質を分解することによって得ています。脂肪を燃やしてエネルギーを得る過程は主にペルオキシソームと呼ばれる細胞内の構造の中で行われます。この過程に必要な物質が、どのようにしてペルオキシソーム内部に集まるのか、その全容は解明されていません。今回、研究グループは脂肪代謝に必要な物質の一つであるアデノシン三リン酸(ATP) をペルオキシソーム内に輸送するタンパク質PNCを発見しました。このPNCタンパク質を少量しか持たないように改変した変異体植物では、貯蔵脂肪の分解がうまく進まず、健全に発芽することができなくなりました。この研究により、発芽における脂肪の代謝メカニズムの一端が明らかになったと共に、発芽における脂肪の重要性が示されました。今後、この輸送体の研究を進めることで、種子発芽の仕組みを解明するとともに発芽を調節する手法の開発につながることが期待されます。今回の研究成果は、学術雑誌「The Plant Cell」12月号オンライン版に12月10日に掲載されました。また同誌の巻頭に注目論文としてとりあげられました。