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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

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プレスリリース概要

2015.03.31

日長時間に応じてメスとオスの出現をコントロールできるミジンコの誘導系の確立と、環境依存型性決定を制御する幼若ホルモンの生合成因子の発見

 甲殻類のミジンコの仲間は、日照時間や水温などの環境の変化に応じてメスとオスの子供を産み分けることが知られています。この現象は環境依存型性決定と呼ばれます。これまでの研究で、ミジンコ類に昆虫類や甲殻類のホルモンの一種である「幼若ホルモン」を曝露すると環境条件に関係なくオスばかり産むことが報告されていましたが、実際にミジンコの生体内で幼若ホルモンが「性決定因子」として作用しているかは謎でした。今回、岡崎統合バイオサイエンスセンター/基礎生物学研究所/総合研究大学院大学 生命科学研究科 基礎生物学専攻の豊田賢治大学院生および井口泰泉教授らの研究グループは、国立環境研究所、農業生物資源研究所、島根大学、インディアナ大学(米国)、バーミンガム大学(英国)との共同研究により、日長時間に応じてオスとメスを産み分けられる実験系の確立に成功し、この実験系を用いることでオスを産むためには母親ミジンコの生体内で幼若ホルモンが作られる必要があることを見出しました。そして、この幼若ホルモンの合成に関与する複数の因子を同定することにも成功しました。これらの研究成果はJournal of Insect Physiology誌およびBMC Genomics誌に掲載されました。

 

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ミジンコの仔虫。左がメス、右がオス。

オスは第一触角(図中の矢印)が長い。

 

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井口泰泉教授(左)と豊田賢治博士(右:本研究により学位取得)