English

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

  • Home
  • ニュース
  • > 葉緑体の状態に応じて葉が形を変える際のメカニズムを解明

ニュース

プレスリリース概要

2013.07.26

葉緑体の状態に応じて葉が形を変える際のメカニズムを解明

 多くの植物の葉は、緑色で平たく幅広い形態をしています。緑色をしているのは、光合成を行う葉緑体が発達しているからであり、平たく幅広い形態は、広い面積で光を受けるのに役立ち、効率よく光合成を行うのに適しているのです。葉のこうした特徴は、「葉原基」と呼ばれる葉のもとから、葉の形がつくられる過程で出来上がってきます。

 この葉原基の成長過程では様々な遺伝子の働きを必要とします。中でも、葉緑体が未発達な葉原基から葉緑体を発達させるには葉緑体が独自に持つ葉緑体ゲノムの働きが重要です。また、以前から葉緑体ゲノムの働きが抑えられたときに葉が細くなるという現象が報告されていました。このことから、葉緑体ゲノムと葉の形態との関連性が指摘されていましたが、その仕組みはわかっておらず、葉の形の研究における謎の一つでした。

 今回、基礎生物学研究所の岡田清孝前所長と爲重才覚研究員らは、葉緑体ゲノムの働きが抑えられると、葉の表側組織の性質を決める遺伝子が正常なパターンで働かなくなり、葉原基内部で表側と裏側の性質を持つ細胞の分布のバランスが崩れて、葉の横方向への幅広い成長が妨げられていることを明らかにしました。

 これらの発見から、葉緑体ゲノムの働きが、葉緑体の発達だけでなく、葉の形を決める上でも重要な役割を担うことが明らかとなりました。この成果は、7月25日に米国科学雑誌「PLOS Genetics」に掲載されました。

 

 なお、この論文はPLOS Genetics7月号のCover(表紙)として紹介されています。

 

 

tameshige.jpg

爲重才覚研究員