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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

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プレスリリース概要

2012.06.18

「大学連携バイオバックアッププロジェクト(IBBP)」について

【概 要】

大学共同利用機関法人自然科学研究機構並びに国立大学法人北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学及び九州大学は,災害に強い生命科学研究を実現するため,全国の大学・研究機関での研究に不可欠な生物遺伝資源をバックアップする「大学連携バイオバックアッププロジェクト(IBBP)」を発足させるべく,機構・各大学間の協定を6月1日付けで締結し,その体制整備に着手いたしました。

 

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6月18日に東京(学士会館)で行われた記者会見の様子

 

【プロジェクトの背景と取組内容】

(1)背景

先の東日本大震災では,飼育・栽培設備の損壊,長期の停電に伴う冷凍研究試料の融解,水やガスの供給停止による飼育生物の死滅や栽培植物の枯死などが多数報告されました。研究過程で作製された多様な生物遺伝資源(動物や植物などの突然変異体や遺伝子組換え体,培養細胞,微生物,遺伝子サンプルなど)の毀損・消失は,我が国の生命科学研究をはじめとする関連分野の研究の停滞,国際競争力の低下に直接つながるものであり,かかる事態を回避するため全国的な生物遺伝資源のバックアップ体制を構築することが急務となっています。

 

(2)取組内容

大学共同利用機関法人自然科学研究機構は,基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)に集中バックアップ保存施設としてIBBPセンターを設置します。国立大学法人北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学及び九州大学には大学サテライト拠点を設置し,IBBPセンターと双方向的で緊密な連携により各担当エリア内の重要な生物遺伝資源を計画的にバックアップできる体制を本年度中に整備します。

 

IBBPセンターでは,大規模地震に耐え得る耐震性建屋(非常用自家発電装置設置),液体窒素の自動供給機能を備えた凍結保存施設,超低温フリーザー,冷凍・冷蔵保存設備(主に種子保存用)及び各種ラボオートメーション装置,細胞培養装置など,生物遺伝資源のバックアップに必要な最新の機器を設置し,共同利用できる体制を整備します。具体的な保存方法としては,動物の精子や受精卵,動物・植物の培養細胞,微生物,遺伝子ライブラリは凍結状態で保存します。植物の種子は凍結又は冷蔵で保存します。バックアップ施設の計画保存容量は約140万サンプルです。

 

大学サテライト拠点は,担当教員,技術支援員等の所要人員の配置と品質確認等に必要な一時保存用超低温フリーザーなど関連備品の整備を行い,担当エリア内での生物遺伝資源バックアップ保存の拠点を形成し,担当エリア内のプロジェクトの広報,生物遺伝資源バックアップの必要性の把握を行い,それをプロジェクトの運営審議機関であるIBBP計画推進委員会(大学サテライト拠点と基礎生物学研究所教員等で構成)に提案します。

 

バックアップの希望があった生物遺伝資源は,委託する研究者からIBBPセンターへ搬送し,凍結(又は冷蔵)保存するとともにその生物遺伝資源の個別情報をデータベースに登録し,管理します。災害や停電等により研究者の生物遺伝資源が失われた際には,バックアップした生物遺伝資源を迅速に研究者の元に戻すことで,研究の速やかな再開を支援します。 

 

 バックアップ体制の整備により,これまで各大学や研究機関でのみ保存されてきた生物遺伝資源がIBBPセンターの最新設備で確実にバックアップされ,研究基盤の強化が図られることとなります。

 

(注)IBBP: Interuniversity Bio-Backup Project for Basic Biology

 

 

[お問い合わせ先]
基礎生物学研究所 広報室
Tel: 0564-55-7628            
Fax: 0564-55-7597            
E-mail: press@nibb.ac.jp