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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

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プレスリリース概要

2006.11.06

外分泌腺と腎臓に共通した機能を生み出す因子を発見

私たちの体には、涙、唾、汗といった分泌液を体外へ放出する外分泌腺と呼ばれる器官が多数存在します。腎臓も尿を排出するという点で特殊な外分泌腺と考えられます。これらの組織では共通して、腺房という部分でつくられた分泌液が、導管と呼ばれる管を通過する間に液の成分が調整されますが、異なる組織にこうした類似性が生み出される仕組みは全く不明でした。今回、基礎生物学研究所(岡崎統合バイオサイエンスセンター)の山口良文研究員(現・東京大学大学院薬学系研究科助手)、高田慎治教授らの研究グループは、複数の外分泌腺組織の導管に共通に発現する転写制御因子CP2L1を同定し、この因子が唾液腺と腎臓の導管部の機能成熟に必須であることを、遺伝子改変マウスを用いて明らかにしました。さらに、外分泌腺導管部に機能的類似性を生み出すための分子メカニズムの一端を明らかにし、CP2L1がその中で大きな役割をはたすことを示唆するデータを得ました。これらの発見は、異なる組織間に機能の類似性が生じる仕組みを明らかにしていく上で、重要な手掛かりになると考えられます。また、今後さらに研究を発展させることによって、唾液腺や腎臓に生じる様々な疾患の治療への基礎的知見が得られる可能性があります。研究の詳細は、2006年11月1日、ディベロップメント(Development)誌オンライン版で先行発表されました。