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2017年10月06日
植物の細胞分裂方向調節機構を発見 〜陸上植物進化の謎のひとつを解明〜

名古屋大学

自然科学研究機構 基礎生物学研究所

 

 名古屋大学大学院理学研究科の五島剛太教授の研究チームは、自然科学研究機構 基礎生物学研究所生物進化研究部門の長谷部光泰教授、村田隆准教授、ベルギーのゲント大学と共同で、植物の発生や形態形成に決定的に重要な役割を果たす細胞内の高次構造を発見しました。

 動植物の発生過程では、さまざまな種類の細胞を作り出すために、非対称な細胞分裂が頻繁に起こります。動物細胞では130年前に「中心体(セントロソーム)」と呼ばれる構造体が発見され、これまでに、中心体が分裂の非対称性を保障することが証明されています。ところが、植物は進化の過程で中心体を失ったため、どのように細胞分裂の対称性・非対称性が制御されているかは謎でした。今回の研究では、コケ植物の幹細胞や種子植物の培養細胞を使って、動物の中心体に相当する構造を発見し、これを「ガメトソーム」と命名しました。ガメトソームを人為的に破壊すると、幹細胞に特徴的な非対称分裂が認められなくなりました。

 植物では多能性の幹細胞が、動物よりもずっと長い期間、維持されていることが知られていますが、植物幹細胞はガメトソームの場所を操ることで幹細胞性を維持しているのではないかと推測できます。

この研究成果は、平成29年10月2日に「米国アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci USA)」オンライン版に掲載されました。 

 この研究は、文部科学省科学研究費助成及び東レ科学振興会の支援のもとで行われました。

 

【本研究のポイント】

■   コケ植物の幹細胞において、細胞分裂の直前に「微小管」と呼ばれる細胞骨格の集合が認められた。

■   動物の中心体(セントロソーム)との類似性から、この集合体を「ガメトソーム(gametosome)」と命名した。

■   ガメトソームの破壊により、細胞の分裂方向に異常が生じた。すなわち、ガメトソームは細胞の分裂方向を制御する構造であった。

■   被子植物であるタバコの細胞においても、同様の機能を果たす微小管集合を同定した。

 

fig1.jpg

図:新奇微小管系構造「ガメトソーム」によって制御される

ヒメツリガネゴケ初期茎葉体幹細胞の非対称細胞分裂

 

【用語説明】

微小管:チューブリンというタンパク質が重合してできた繊維(細胞骨格のひとつ)

紡錘体:微小管を主体とする細胞分裂装置であり、染色体の娘細胞への分配や細胞質の分裂を司る

非対称分裂:2つの娘細胞が異なる性質を示すような細胞分裂様式

 

【論文名】 

Cytoplasmic MTOCs control spindle orientation for asymmetric cell division in plants

DOI:10.1073/pnas.1713925114

 

【お問い合わせ】

<研究に関すること>

名古屋大学大学院理学研究科

五島 剛太 教授

(ごしま ごうた)

TEL:052-788-6175  FAX:052-788-6174

E-mail:goshima@bio.nagoya-u.ac.jp

 

<報道担当>

名古屋大学総務部総務課広報室

TEL:052-789-2699  FAX:052-789-2019

E-mail:kouho@adm.nagoya-u.ac.jp