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文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」細胞核ダイナミクス
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公募研究班
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リンカーヒストンによる細胞未分化性の基盤を成すクロマチンダイナミクス制御
青田(浦)聖惠
(大阪大学大学院医学系研究科遺伝子治療学 助教)

研究分担者
須賀 則之
(独)理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター)

脊椎動物では受精後の転写活性化の前後に、母性由来の胚性リンカーヒストンH1から体性リンカーヒストンH1に切りかわる。また分化多能性を有したES細胞では、ヌクレオソームに対するヒストンH1の割合が、一般の体細胞のおよそ半分しかない。このように細胞の未分化性喪失と核クロマチンにおけるリンカーヒストンの質的・量的な変化には相関関係が見られるが、未だにリンカーヒストンH1を含んだ高次クロマチンの構造と物性が明確に捕らえられていないのが実情である。本研究ではリンカーヒストンH1の多種多様性が生み出すクロマチンダイナミクスと、細胞の未分化性のつながりを、再構成クロマチン系を用いた詳細なクロマチン物性の解析と、ES細胞や出芽酵母におけるリンカーヒストンバリアント発現系を用いた細胞核内でのクロマチン構造解析によって明らかにする事を目指す。平成19年度はリンカーヒストンを含んだ30 nmクロマチンファイバーの再構成系を確立し、詳細なクロマチン物性の解析によって、リンカーヒストンH1バリアントによるクロマチンダイナミクスの違いを明らかにする。

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細胞核ダイナミクスを介した転写制御 
石井 俊輔
(理化学研究所・石井分子遺伝学研究室・主任研究員)

遺伝子の転写レベルでの制御は、発生・分化などを含む多様な生命現象の最も重要な制御メカニズムの一つである。私達は、細胞増殖制御や発生・分化に関与する幾つかの転写制御因子(Ci/GLI, Myb, Ski, ATF-2など)について研究している。最近のデータによって、これらの転写因子の機能は、核内移行、核外移行、核内局在などの制御によって、巧妙にコントロールされていることが示唆されつつある。このような核内ダイナミクスを介した転写因子の制御が、発生・分化や細胞増殖をコントロールする上でどのような役割を持つかは、大変重要であり、ショウジョウバエやマウスの変異体を用いて、明らかにしたい。さらに、核内ダイナミクスを介した制御の詳細な分子メカニズムを、細胞生物学的及び生化学的手法を用いて明らかにし、それが普遍性を持つかどうかを検討したい。

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時計タンパク質の核移行と核におけるリズム発振機能
石浦 正寛
(名古屋大学・遺伝子実験施設・教授)

研究分担者
小内 清
(名古屋大学・遺伝子実験施設・研究員)
岡本 和久
(名古屋大学・遺伝子実験施設・研究員)

生物時計のリズム発振において、時計タンパク質の核移行が重要であると考えられている。本研究では、生物時計のリズム発振メカニズムの解明を目的として、高等植物の時計タンパク質PCL1と時計関連タンパク質の細胞内における時空間的挙動(特に核移行)を明らかにしたい。

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カエル胚を用いた核ダイナミクスの新規バイオイメージングシステム 
岩尾 康宏
(山口大学大学院・医学系研究科・応用分子生命科学・教授)

研究分担者
上野 秀一 
(山口大学大学院・医学系研究科・応用分子生命科学・助教)

同調した短い細胞周期で分裂するカエル受精卵は、核膜孔構築、核クロマチン構築、DNA合成などの核機能制御の生化学的な解析に有用である。我々は、不透明はカエル胚から透明な割球を作成して正常細胞と同様に細胞分裂させることに成功した。本研究では、この透明化割球に細胞周期の進行に必要な分子と蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現させ、それらの機能分子間の結合・解離の状態をリアルタイムに測定することを試みる。このシステムは、核機能解明のためにこれまでのCell-free系とin vivoとを結ぶ新たなモデル系となることを目指している。

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初期胚におけるラミンBサブタイプの核および細胞質機能の解析

岩渕 万里
(東京工業大学・バイオフロンティアセンター)

核膜サブドメインを形成する分子基盤と形成機構の解析
今本 尚子
(理化学研究所 今本細胞核機能研究室 主任研究員)

研究分担者
小瀬 真吾
(理化学研究所 今本細胞核機能研究室 専任研究員)
高木 昌俊
(理化学研究所 今本細胞核機能研究室 専任研究員)

細胞核の枠組み構造を作る核膜が、核内機能と核の構築の問題と密接に関連することが示唆され、その重要性に注目が集まりつつある。私たちは、核膜に存在する最も顕著な構造体の1つである核膜孔複合体に着目し、その挙動を調べた。その結果、全てのヒト増殖細胞において、細胞周期に依存して規則的に変化する核膜サブドメイン“pore-free region”を見つけた。pore-free regionにはA-type laminやEmerinが濃縮されておりB-type lamin やLBR(laminBreceptor)が排除されている(図参照)。核膜サブドメインは核膜が新生されるtelophaseで形成されたのちG1期の特定の時期に解消される。増殖停止や細胞老化を誘引した核膜サブドメインの観察から、核膜のグローバルな構造変化が細胞運命決定時期に誘起されると考えられる。核膜サブドメインは核膜孔複合体の分布がlaminを中心とする核内膜タンパク質と連動して形成されることがわかったが、その詳細は不明である。これらの知見を踏まえ、本研究では核膜サブドメインの分子基盤と形成機構を明らかにすることを目的として、核膜サブドメインを形成する新たなタンパク質因子の同定、脂質成分の解析、並びに、核膜サブドメインの変化に伴っておこる核膜孔複合体形成の制御機構を解析する。

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動物細胞核内複製・転写時の高次クロマチンダイナミクス
奥村 克純
(三重大学・生物資源学部・教授)

哺乳類細胞核の内部構造と高次クロマチンおよびドメインの実体や、そのダイナミックな構造変換による核内イベントの制御を明らかにするために、視覚的解析技術を駆使して複製・転写と核マトリックスやクロマチン構造の関係を解析する。すなわち、核マトリックスと転写・複製時のクロマチンループのダイナミクス、複製フォーク可視化法によるゲノム上のレプリコン構成やフォークの進行制御のダイナミクス、セントロメアやテロメアの複製、ドメイン形成過程のダイナミクス解析などを行う。

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核小体形成ダイナミクスの分子解剖

奥脇 暢
(筑波大学大学院人間総合科学研究科・講師)

研究分担者
永田 恭介
(筑波大学大学院人間総合科学研究科・教授)

核小体はリボソームの合成の場であるとともに、細胞周期や細胞の老化の制御など、様々な細胞機能をつかさどる重要な核の機能領域である。核小体の主要な構成因子は、リボソームRNAをコードする遺伝子領域を含む染色体と、リボソームRNAやsnoRNAなどのRNA分子、リボソームRNAの修飾に関わる因子群である。核小体は細胞周期を通じてダイナミックに構造変換することが知られているが、その分子機構は明らかではない。本研究は核小体構造の維持とその崩壊、再構築の過程に着目し、核小体の形成機構を明らかにすることを目的として解析を進める。

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定量測定とシミュレーションを利用した核・染色体の細胞内配置ダイナミクスの解析
木村 暁
(国立遺伝学研究所・新分野創造センター・細胞建築研究室・准教授)

核や染色体が細胞内で適切な位置に配置されることは細胞機能にとって重要である。しかし、この細胞内配置の問題はダイナミックであり、力学的な理解が必要であることから、これまで解明が進んでいなかった。本研究では、線虫C. elegansの初期胚をモデル系として、核・染色体の配置を時系列を追って定量化した上で、この配置を決定する力学的機構についての仮説を構築し、その妥当性をコンピュータ・シミュレーションを利用して検討するというアプローチで、核・染色体の細胞内配置の理解を目指す。

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細胞核ダイナミクスにおけるゲノムの機能的収納機構の解明
大山 隆
(早稲田大学教育・総合科学学術院・教授)

研究分担者
三谷 匡
(近畿大学・先端技術総合研究所・准教授)

 ゲノムを細胞核に機能的に折り畳むための遺伝情報はまだ解明されていない。しかし、これまでの研究でこの問題に関係すると思われる興味深い知見をいくつか得た。そこで、それらを手がかりとして、今後2年間で以下の研究を実施する。

(i) 培養細胞を用いたこれまでの研究で、負の超らせんを擬態したベントDNA構造はクロマチン制御能と遺伝子発現制御能を有していることが明らかになった。そこで今回、ベントDNAのこのような機能が細胞分化や個体発生の過程で維持されるかどうかを調べる。

(ii) 我々は最近、DNAの機械的特性にも遺伝情報が印されていることを発見した。そこで今回、ヒトゲノムDNAの機械的特性地図を作成し、遺伝子の機能的折り畳み機構ならびに染色体の構築機構について考察する。

(iii) 我々は最近、DNAにも自己集合する性質があることを明らかにした。そこで今回、同じ配列のDNAをもつヌクレオソームに自己集合能があるかどうかを調べる。

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ヒト細胞におけるM期から複製開始にいたるまでの染色体構成因子のプロテオーム解析
小布施 力史
(北海道大学・大学院先端生命科学研究院・染色体機能ネットワーク研究室・教授)
染色体ダイナミクスの生化学・構造生物学的解析
胡桃坂 仁志
(早稲田大学・理工学術院・准教授)

染色体の構造は細胞周期を通してダイナミックに変動している。近年、この染色体構造のダイナミクスが、遺伝子の発現制御、DNA複製、DNA組換えなどを調節するために重要な役割を果たしていることが示されてきた。本研究では、染色体ダイナミクスとDNAの機能発現との相関を、精製タンパク質群による試験管内再構成系を用いた生化学的および構造生物学的解析によって明らかにすることを目的とする。研究対象として、染色体高次構造の変動に直接関係するヒストンシャペロンやクロマチン構造変換因子群、ヒストン結合タンパク質、そして染色体の動的変動を触媒するDNA組換え酵素群などを選定する。それらのタンパク質の染色体構造への影響を、ヌクレオソームとの相互作用を中心に、ヒストンやヒストンバリアントによって再構成されたヌクレオソームを用いて明らかにする。並行して、本研究にて対象としているタンパク質群の結晶化を行い、それぞれ単体もしくは複合体としての立体構造解析を目指す。

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時空間相互相関法を用いた細胞核内ダイナミクス

金城 政孝
(北海道大学・大学院先端生命科学研究院 細胞機能科学研究室)

研究分担者
中村美浩
(名古屋工業大学,工学部,准教授)

蛍光相関分光法(FCS)は高感度な単一分子検出法であり、細胞内の任意の一点での、蛍光分子の数とその分子の動き易さを測定することができる。分子の動き易さは、分子サイズと相互作用の強さに関連する。従って,分子サイズが変化しない場合,分子の動き易さから分子間相互作用を推定することが可能となる。本研究の目的はこのような相関分光法を中心にさらに蛍光寿命測定による補正方法を完成させ,分子運動の特性に注目して,これまでのイメージング手法では明らかにできなかった核の機能と密接関連したダイナミックな機構が存在する事を明らかにすることである。LSM画像におけるタンパク質の相互作用解析とFCCS時間相関解析,並びに蛍光寿命測定を利用した2量体や複合体形成における蛍光強度の見積もり補正等を行い、これまでFCCSの弱点であった内在性のタンパク質の影響を定量的に推定できることが期待できる。

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糖修飾による核膜孔複合体と核形態の維持メカニズム
後藤 聡
(三菱化学生命科学研究所・糖鎖制御学グループ・グループリーダー)

核膜孔および核ラミナ構成蛋白質の一部は、細胞内でGlcNAcにより糖修飾されているが、その糖修飾の意義については必ずしも明らかになっていない。そこで、ショウジョウバエの精子形成過程をモデル系に、糖修飾と核膜孔および核膜の形成と機能の関係について解析している。具体的には、細胞内糖修飾を制御する糖転移酵素および脱糖鎖酵素が同定されているので、それを用いたRNAi法によって、O-GlcNAc糖修飾を変化させ、その効果を解析している。

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細胞の増殖・分化における核内構造体の形成機構と機能の解析
斉藤 典子
(熊本大学・発生医学研究センター・器官制御分野・助教)

研究分担者
中尾 光善
(熊本大学・発生医学研究センター・器官制御分野・教授)

細胞核内には遺伝情報を含む染色体テリトリーに加え、PMLボディー、核小体、核膜等数々の構造体が存在する。それらが空間内でどのように形成され相互作用するかは、遺伝子の効率的な発現やエピジェネティックな制御を規定していると考えられる。私たちは、(1)遺伝子の転写制御におけるPMLボディーの役割を明らかにする、(2)細胞核内構造体の形成におけるSUMO E3タンパク質の役割を明らかにする、(3)増殖・分化・発生過程における遺伝子の核内配置プログラムを見いだすことを通じて、増殖・分化における細胞核の形成機構と機能を理解することを目標としている。

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微小核ダイナミクス…異常クロマチンの廃棄システム
清水 典明
(広島大学・大学院生物圏科学研究科・准教授)

高等動物の体細胞には、主たる核の他に小さな核構造が細胞質に生じることがある。これを微小核(micronuclei)と呼ぶ。微小核は、分裂期に微小管がつかなかった染色体や染色体断片から形成される場合がよく知られている(染色体型微小核)。一方、増幅した遺伝子が局在する染色体外遺伝因子(DM)やウイルス性核内プラスミドといった自律複製する染色体外遺伝因子も、DNA傷害を受けると、染色体型とは別に微小核を形成する(DM型微小核)。微小核内の遺伝物質は細胞内から消失しやすい。本研究では、このような微小核の動態を、多角的かつ明確に理解する。

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動的クロマチン構造制御の機能複合体解析
田上 英明
(名古屋市立大学・大学院システム自然科学研究科・准教授)

ヒストン複合体をはじめとするクロマチン制御複合体解析を通して、動的なクロマチン構造形成基盤およびその制御システムと細胞核機能の解明を目指す。酵母をモデル系として、複合体精製を新しいスクリーニング法の一つとして様々な条件下におけるヒストン複合体の機能解析からダイナミックなクロマチン構造制御とヒストン制御機構の分子基盤を解明する。各種ヒストンと相互作用する全ての因子を網羅的に同定すると同時に、分子遺伝学/生化学的手法とイメージングを組み合わせることにより解析を進めたい。

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Jumonjiファミリー蛋白質の生理機能と核ダイナミクス

竹内  隆
(名古屋市立大学・大学院システム自然科学研究科・准教授)

クロマチン修飾は、遺伝子の発現制御を通じて、発生過程や生涯にわたる細胞増殖と分化に関与すると考えられる。特にヒストンのメチル化および脱メチル化は残基特異的に起こり、遺伝子の発現の切り替えやその固定化に深く関わると思われる。そこで、本特定領域研究では発生過程の増殖・分化制御および発生後の細胞の長期的な増殖停止と分化の維持におけるヒストンメチル化の意義を問う。平成19年度では、ヒストンメチル化酵素やJmjファミリー等のヒストン脱メチル化酵素の発生過程での発現パターンとヒストン修飾状態との相関を調査する。また、これらの遺伝子操作により、個体内もしくは細胞内においてヒストンの特定残基のメチル化状態の改変を行い、そのメチル化の意義を解析する。

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ゲノム再プログラム化における体細胞核のダイナミクス
多田 高
(京都大学再生医学研究所・幹細胞加工・助教授)
核内染色体テリトリーおよび核内小分子群の同一細胞内での可視化系の開発
田辺 秀之
(総合研究大学院大学・先導科学研究科・生命共生体進化学専攻・准教授)

細胞核における核内染色体は高度に区画化された「染色体テリトリー(CT)」を持ち、染色体の物理サイズ、遺伝子密度、遺伝子発現状態などに関連して、その核内配置が規定されている。CTのダイナミクスを探る一環として、H17-18年度に公募研究班員として、CTと核タンパク質の同時可視化の開発に関する研究を行い、CTあるいは特定遺伝子領域と核内タンパク質各種(ヒストン、LBR、NELF、Cajal body、核小体関連タンパク質など)との同一核内での可視化系の開発に成功した。この成果に基づき、平成19年度以降は、タンパク質だけではなく、RNA分子を主体とした核内小分子群とCTとの同一核内での可視化系の開発を行い、より統合した視点で核内現象のダイナミクスを捉えることを目指す。

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新規ヒストン脱メチル化蛋白質によるリボソームRNA遺伝子のクロマチンの調節
常岡 誠
(高崎健康福祉大学・薬学部・遺伝子機能制御学研究室・教授)

研究分担者
馬田敏幸(産業医科大学・産業医学研究支援施設・准教授)
金子雅文(高崎健康福祉大学・薬学部・准教授)
田中祐司(高崎健康福祉大学・薬学部・助手)

タンパク合成装置であるリボソームの主要構成成分はリボソームRNAである。リボソームRNA遺伝子の転写はRNAポリメラーゼIによって行われ、核内の転写量の半分以上をも占める非常に活発な生命活動である。リボソームRNAの転写・エピジェネティックスは複雑に制御されているが、その機構はまだ十分に解明されていない。我々はリボソ−ムRNA遺伝子のクロマチン調節にヒストン修飾が関係する可能性について検討した。その結果、ヒストンメチル化がリボソ−ムRNA遺伝子発現調節と関連する可能性が示唆され、さらにヒストン脱メチル化酵素と考えられるタンパク質が核小体に存在することを明らかとした。本研究ではこれらの働きを明らかにすることにより、リボソームRNA遺伝子の制御機構を解き明かすことを目指す。

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X線をもちいた核ゲノム構造の解析
前島 一博
(理化学研究所・今本細胞核機能研究室・専任研究員)

細胞核は様々な細胞に即したゲノムDNAの高次構造を担っており、その高次情報はゲノムが「むき出し」となっている分裂期染色体においても何らかの形で保持されている。本研究はX線・中性子線散乱などを用いた物理化学的測定と従来の細胞生物学的手法を組み合わせ、全く新しい視点から、細胞核・染色体内のヒトゲノムDNAの折り畳み構造(クロマチンorganization)を解明し、核内ゲノムの高次構造および機能の理解に貢献したい。

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条件不安定化ヒト人工染色体を用いたセントロメア機能と核再形成の研究
舛本 寛
(名古屋大学・大学院理学研究科・准教授)

セントロメア由来アルフォイドDNAをヒト培養細胞へ導入すると、セントロメア機能を保持するヒト人工染色体を形成する。アルフォイドDNAへのCENP-Aクロマチンの集合とヘテロクロマチンの集合バランスはセントロメア形成と機能維持において極めて重要である。本研究では、tetオペレーター/リプレッサーを用い各種ヒストン修飾酵素を人工染色体上に結合させる系を開発した。この系を用いクロマチン集合バランスを攪乱させた場合のセントロメア形成と機能維持のメカニズム、セントロメア機能阻害が核膜再形成に与える影響等について解析する。

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テロメアにおける機能複合体形成機構とその時空間的制御
松浦 彰
(千葉大学理学部生物学科分子細胞生物学講座・教授)

時間軸に沿った核での物質動態可視化システムの開発
三輪 佳宏
(筑波大学大学院人間総合科学研究科・分子薬理学・講師)

我々は、細胞内での分子間相互作用依存性のユビキチン-プロテアソーム系を介するタンパク質分解制御を利用することで、生細胞内での分子どうしの結合をイメージングする、デグラトンプローブの開発を進めている。これまでDsRedやKaedeを用いるとタンパク質間相互作用を解析できることを見いだし、イメージングに適した変異型蛍光タンパク質の開発を進めて来た。本研究ではこの可視化されているタンパク質の同定により、われわれの技術によってどういったタンパク質の時間経過がイメージングされるのかを評価する。

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細胞核イノシトールリン脂質シグナル系の調節機構と細胞制御
八木澤 仁
(兵庫県立大学・生命理学研究科)

近年、核におけるイノシトールリン脂質(PI)、および、代謝産物であるイノシトールリン酸(IP)やジアシルグリセロール(DG)の役割が注目されている。これらの因子は、細胞質と核内との間を行き来しており、細胞の状態に応じて、その動態が変化する。PIシグナル系と細胞分裂、分化、増殖・細胞死などの諸現象との間には密接な関係があることが知られているが、これらの分子や酵素の核移行の制御機構と核での役割は不明である。平成19年度は、PI分解酵素であるPLCδ1の核移行が細胞周期の進行にどのような役割を果たしているか、また、興奮性神経細胞死において細胞内Ca2+の挙動と核PIシグナル系との関連を探索する。

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生殖細胞系列における核内構造変化と核のリプログラミングについて
山縣 一夫
(理化学研究所・発生再生科学総合研究センター・研究員)

生殖細胞系列では、配偶子形成過程から受精を経て初期胚発生に至るまでの間に体細胞では見られない特異でダイナミックな核内構造変化が見られます。この変化は受精のために高度に特殊化(分化)した雌雄配偶子が最も未分化な細胞(受精卵)へと脱分化し、その後徐々に個々の細胞系譜へと分化してゆく、いわゆるリプログラミング過程と密接にかかわっていることが徐々に明らかとなってきました。このプロセスをバイパスする体細胞クローン胚では様々な発生異常が知られていることから、生殖細胞系列に見られる核内構造変化が正常な発生に対して重要である可能性が考えられます。本研究では特に受精・初期胚発生における核内構造やエピジェネティック状態の変化についてわれわれの開発したライブセルイメージング技術により可視化し、それらをクローン胚と比較することで、核のリプログラミングの発生における重要性と分子メカニズムに関して新しい知見を得ることを目的にしています。

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細胞質スプライシングにおけるRNA動態―RLg1上でのtRNAとmRNAの
吉久 徹
(名古屋大学・物質科学国際研究センター)

真核生物における小胞体ストレス応答の鍵段階の一つは、細胞質におけるmRNAの非典型的スプライシングである。出芽酵母では、転写因子Hac1の生産が、翻訳制御と共役したこの細胞質スプライシングで制御されている。しかし、細胞質スプライシングを受けるmRNA-タンパク質複合体(mRNP)がどのように形成され、細胞質へと運ばれるか、さらには、これらmRNAの翻訳制御がどのように行われるかの詳細は未だ不明である。加えて、Hac1のスプライシングと翻訳制御の両方に関わる可能性が見出されたRlg1は、Hac1 mRNAに比べはるかに分子数の多いtRNAのスプライシングにおいてもRNA ligaseとして働く。本計画では、Rlg1やHac1 mRNPの細胞内動態を中心に解析を進め、スプライシングのためのRNP形成・機能化に核と細胞質と各々が担う役割を明らかにすることを目指す。

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ヒトCENP-Aクロマチンダイナミクス

依田 欣哉
(名古屋大学・生物機能開発利用研究センター・器官機能利用分野・准教授)

 ヒト染色体セントロメア領域はI-型αサテライト配列上にCENP-Aヌクレオソームが形成されることによって決定される。CENP-Aクロマチン複合体はDNAの繰返し配列を反映してなんらかの繰返し構造を形成している。間期核内におけるセントロメア複合体(ICENと略記)を抗CENP-A抗体を用いて単離・精製し40種類の構成因子 (ICEN1〜40) を検出した。これらの因子を解析することによって、染色体分配に関わる新規タンパク質を明らかにしCENP-Aクロマチンの形成過程、及び間期核内におけるセントロメア領域の機能を明らかにしたいと考えている。平成19〜20年度はCENP-Aクロマチンダイナミクスに関わるタンパク質群に焦点をあてる。

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