高等動物の体細胞には、主たる核の他に小さな核構造が細胞質に生じることがある。これを微小核(micronuclei)と呼ぶ。微小核は、分裂期に微小管がつかなかった染色体や染色体断片から形成される場合がよく知られている一方で、がん細胞に見られる染色体外遺伝因子(DM)やウイルス性核内プラスミドも、DNA傷害を受けると微小核を形成する。微小核内の遺伝物質は、未解明の機構により細胞内から消失しやすい。本研究では、微小核のダイナミクスを明確に理解し、細胞の遺伝形質に与える影響を正確に評価する。すなわち、微小核の形成機構、形成された微小核の動態、微小核内容物の排出について、特定のDNA配列、RNA配列、核膜構成蛋白質、等を生細胞内で可視化し、時間経過に伴う動態を解析することなどの検討により、微小核の動態を、多角的かつ明確に理解する。 |