種々の哺乳動物細胞実験系を用いて、(1)細胞周期の進行および細胞のストレス応答におけるPLCおよびPIP2の細胞内局在変化とその分子機構、(2)核内におけるPLCおよびPIP2の存在状態と役割の解明を目指す。
1)細胞周期進行と核内PLCδ1/PIP2の役割について:核内における活性化PLCδ1の存在が、正常な細胞周期の進行に必要かどうかを確かめるために、種々のPLCδ1変異体とそれらを核標的化させたものを、一般的な動物細胞株、ならびに、PLCδ1遺伝子を欠損したマウスの胎性線維芽細胞(MEF)に導入する。また、非水解性PIP2の核内注入の細胞周期に与える影響を見る。さらに細胞周期を同調させた細胞株におけるPLCアイソフォームの核内分布の変化を調べる。
2)細胞内Ca2+上昇をともなうストレス応答におけるPLCδ1の核内蓄積の意味について:神経細胞の虚血性細胞死モデルにおいて、PLCδ1およびPIP2の細胞内分布の変化と、核収縮、ホスファチジルセリンの膜外葉移行、カスパーゼ活性化、DNA断片化等の細胞死の諸指標の変化との関係を明らかするとともに、PLCδ1自身が核において分解するかどうかを検討する。 |