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研究内容 |
細胞核における核内染色体は高度に区画化された「染色体テリトリー(CT)」を持ち、染色体の物理サイズ、遺伝子密度、遺伝子発現状態などに関連して、その核内配置が規定されているものと考えられている。CTのダイナミクスを探る一環として、H17-18年度に本特定領域の公募班として、CTと核タンパク質の同時可視化の開発に関する研究を行い、ヒストン、LBR、NELF、Cajal body、核小体関連タンパク質とCTおよび特定遺伝子領域の同一核内での可視化プロトコールの開発に成功した。この成果に基づいて、本研究では、細胞核内で起こっている様々な現象のダイナミクスをより統合した視点で捉えるために、CTとタンパク質だけではなく、RNA分子を主体とした核内小分子群を対象とし、3D-FISH法をベースとしたそれらの同時可視化系の開発を目指すこととする。核内小分子群のうち、特に機能的に重要であると考えられるNon-coding RNA分子群に着目し、1) Non-coding RNA分子、2)それを転写するゲノムDNA領域、3)それを含むCT領域、4)核内構造関連タンパク質(核膜、核小体、細胞骨格関連)を同一細胞内において4種類以上の異なる蛍光色素を用いて可視化する実験系を確立し、細胞周期を通じて、それらの相互作用や結合様式、動態観察を行う。特にCT 内部での1)Non-coding RNA分子と2)ゲノムDNA領域との物理距離、1)Non-coding RNA分子と3)それを含むCT領域の最も近い表層部からの物理距離、を詳細に計測し、Non-coding RNA分子のうち、CTの空間配置トポロジー制御に関与するものを同定し、細胞核内をシステムとして動かしているオペレーターの本態を浮き彫りにしていく。 |
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田辺 秀之(研究代表者)
<総合研究大学院大学・先導科学研究科・生命共生体進化学専攻・准教授> |