同調した短い細胞周期で分裂するカエル受精卵は核機能制御の生化学的解析に有用で、卵母細胞単離核や受精卵無細胞系は核膜孔構築、核クロマチン構築、DNA合成などの解析が進んでいる。しかし、正確な分子間相互作用を解析するためには生きた細胞での分子イメージングが必要である。我々は、不透明なカエル割球を遠心し、色素、卵黄、脂質を除いた透明化割球を作成して正常細胞と同様に細胞分裂させることに成功した。今後、透明化割球を用いて細胞核内での分子間結合や酵素活性化などの分子機能調節を明らかにするため、S期やG1,G2期での機能分子間の結合・解離の状態をFRET法によりリアルタイムに測定することを試みる。また、M期の進行時のcdk1(cdc2)キナーゼの核内移行とcyclinBとの結合による活性化機構の時空間分布と相互作用について明らかにしたい。さらに、PI3KとPTENの核内移行と分子間相互作用を明らかにし、これらの分子がG1, G2期の出現・維持と形態形成や細胞分化に必要な転写活性化における役割を明らかにしたい。透明化カエル割球では全細胞周期を30分間でリアルタイムに観察できるので、核機能解明のための新たなモデル系になることを期待している
|