基礎生物学研究所は、1977年に愛知県岡崎市に設立された国立の研究機関で、様々な生物の特性を活かし、最先端技術を駆使して革新的な生物学の研究にチャレンジしています。生命の謎を解明し、未来の生物学の発展に貢献することを目標として、細胞生物学、発生生物学、神経生物学、進化多様性生物学、環境生物学、理論生物学、イメージングサイエンスなど、幅広い分野で先端の研究を展開しています。2022年4月には、超階層生物学センター(Trans-Scale Biology Center)を創設し、遺伝子レベルから個体群レベルまでの多様な生物学的階層に至る生物学的階層を包括的に理解することを目指しています。また、次世代シークエンサーや画像解析データなどのビッグデータを統合解析するために、AIを活用した解析を強化し、膨大なデータから生命現象を理解する取り組みを推進しています。
基礎生物学研究所での大学院教育は、総合研究大学院大学で行われ、世界最先端の研究所を教育の場として活用し、高度な専門性を有する博士人材の育成を目指しています。基礎生物学コースでは、学生一人ひとりが独自の研究テーマを追求し、世界で活躍できる研究者として成長することをサポートしています。そして、皆さんの情熱と好奇心が、未来の生物学の発展に寄与することを心から願っています。若い学生さんの柔軟な発想は教員にとっても大きな刺激となり、研究の新しい展開を促すことでしょう。お互いに切磋琢磨し、共に成長することが大切です。
研究の道は決して平坦ではなく、山登りに喩えられます。頂上を目指す過程では、深い森で迷ったり、険しい壁に直面したり、予期せぬ困難に遭遇することがあります。しかし、困難を乗り越えるためには、持続的な努力、創造性、そして何より周囲との協力が欠かせません。研究が山登りと異なる点は、頂上に到達しても次の山が現れ、終わりのない果てしない探求が続くことです。
私の研究対象である完全変態昆虫は、成長過程で幼虫から蛹、成虫へと驚くべき変化を遂げます。当研究所で学ぶことによって、チョウのように華麗に変身し、研究の世界で自在に羽ばたく研究者へと成長することを願っています。
総合研究大学院大学 基礎生物学コース
コース長 新美輝幸