2021年3月5日（金）に “NIBB-Academia Sinica International Webinar of Aquatic Model Organisms for Basic Biology to Human Disease Models” がオンライン開催された。2020年度にてNIBBとAcademia Sinica合同での国際実習コースを開催予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2022年秋に延期となった。これを受け、同実習コースのオーガナイザーを中心に、コロナ禍における新たな国際連携活動として本ウェビナーが企画された。Plenary Lectureに2名（中国、シンガポール）、NIBBとAcademia Sinicaから各3名、過去のNIBB国際実習コースの講師および受講生から3名の合計11名を招聘した。また参加登録者は、日本、台湾、中国、インドネシア、インド、シンガポール、ドイツ、ポーランド、スイス、オランダ、ウクライナ、米国、カナダ、アルゼンチンから、合計100名におよんだ。
　講演では、サンゴ、ウニから両生類、硬骨魚類まで多様な水生生物が研究対象とされ、研究分野も発生、進化、ゲノム、神経生理、免疫応答など多岐にわたるものであった。NIBBセッションでは、酒井祐輔博士（2020年度まで形態形成研究部門NIBBリサーチフェロー、現大阪市立大学）が「造礁サンゴの幼生が示す光応答行動の研究」、新規モデル生物開発センターの鈴木賢一特任准教授が「ツメガエル変態における甲状腺ホルモン受容体の関与の研究」、神経行動学研究部門の木村有希子助教が「ゼブラフィッシュ幼魚におけるV1ニューロンの機能解析の研究」を発表した。
　開催後のアンケートでは、回答者の97%がウェビナー内容は興味深いと回答し、講演内容や運営を評価する意見が多く寄せられた。本ウェビナーでは、議論にSlackを利用し、テキスト形式で1週間の質疑応答期間を設けて、多くの参加者が議論できるよう試みた。86%がSlackの利用は容易だと感じた一方、直接の議論を希望する声もあった。また、休憩のタイミングについてなど、今後のウェビナーを開催する際に参考となる意見が得られた。
　ウェビナー開催中は常に50-60名がオンラインで参加している状況であった。当初は時差等の関係でアジア圏からの参加が主であろうと考えていたが、参加登録が世界的に広がった点はオンライン開催の良い部分が現れたと考えている。コロナ禍での国際交流という視点だけでなく、より多様な国々から参加できるというウェビナーの利点を生かしたこのような活動を今後も行いたいと考えている。最後に、このウェビナーではNBRP Medakaの後援を受けた。併せて感謝したい。

 
成瀬 清（IBBPセンター・バイオリソース研究室）
亀井 保博（生命熱動態研究室・光学解析室）
四宮 愛（生命創成探究センター・多様性生物学研究室）