基礎生物学研究所
Organizers | オーガナイザー:鈴木賢一、新美輝幸、 重信秀治(NIBB) | |
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Venue | 基礎生物学研究所 | |
Date | Mar. 5-6, 2024 | |
Link | ウェブサイト (https://sites.google.com/nibb.ac.jp/newmodeltc) | |
地球上には、生命誕生以来の長い歴史の中で様々な環境に適応した多種多様な生物が存在しています。近年の生物学は、多くの生物に共通する基本原理の理解に重点が置かれ、実験室内で の飼育が容易な限られた生物を「モデル生物」として集中的に解析することによって発展してきました。そのため、生物種に特有であるがために、解析がほとんど進んでいない興味深い生命現象が謎として多く残されており、その解明が生物学の今後の重要な課題となっています。この謎を解明するためには、それぞれの現象の解明に適した生物の安定的な飼育・繁殖に加え、実験操作技術を開発すると共に、ゲノム情報及び遺伝子発現等の解析、また遺伝子導入やゲノム編集技術を用いた遺伝子改変技術の導入を進め、新たな「モデル生物」として整備することが重要です。これまでに共生現象を理解するためのアブラムシ、セイタカイソギンチャクやアーバスキュラー菌根菌、再生研究のためのイベリアトゲイモリ、昆虫の進化研究のためのカブトムシやテントウムシなど、 今まであまり研究に用いられてこなかった生物について新たな研究モデルとしての確立に取り組んできました。現在、新規モデル 動物に関する情報共有、遺伝子解析から遺伝子改変、表現型解析までをシームレスに繋げる研究のパイプライン化に取り組んでいる。我々が培った上記の技術や経験に加え、豊富な知見を有する外部講師方をお招きして、本気で「新規モデル生物開発」に取り組みたいと考えている研究者を強力にサポートしたいと考え、本トレーニングコースを企画しました。
本コースは講義形式として行い、共生現象や再生、進化研究などを対象とした未開拓の生物をモデル生物として確立するための飼育・繁殖技術、ゲノム解析や遺伝子改変技術の応用について学び、シームレスな研究パイプラインの構築を想像してもらうことに重点を置きました。新規モデル生物開発に必須のツールと経験を有した外部講師による講演をセッションを通じ、参加者からは「自分の研究についての問題点や解決策のヒントが得られた」「新規モデル生物の確立にむけて、具体的なノウハウを学べた」といった高評価が寄せられました。本トレーニングを通じて、多様な生物を用いた革新的な研究がさらに加速することが期待されます。
オーガナイザー 鈴木 賢一(新規モデル生物開発室)