バイオインフォマティクスを専門としない生物学研究者を対象に、次世代シーケンシング(NGS)技術を使ったトランスクリプトーム解析(RNA-seq)をどのように実験デザインし、どのように膨大な遺伝子発現データから生物学的な情報を抽出するのか、その基礎的技術と考え方を身に付けることを目的としたコースです。
本コースは2日間の日程で開催されます。RNA-seq入門では、RNA-seqによる発現変動解析の原理を理解した上で、実践的なデータ解析パイプラインを習得します。
受講者数
受講生 21 名 聴講生 190 名(応募総数 327 名)
(受講生はオンサイト、聴講生はオンライン)
開催報告
ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース (GITC)は、次世代シークエンサー (NGS) の登場により、大規模なシークエンスデータを解析する必要に迫られた実験生物学者を対象としたインフォマティクス技術のトレーニングコースです。手持ちのデータ解析に直ちに必要となるプログラムの使い方など実践的な内容に加えて、大規模なデータ解析を行う際に必要となる計算機操作や統計的な考え方など、実験生物学者があまり触れてこなかった基礎的な内容にも力を入れた構成になっています。GITC には複数のコースがありますが、いずれも計算機によるハンズオン実習を含んでおり、受講者個々のスキルに応じてきめ細かいサポートを行う点が特徴となっています。「NGS 解析入門」は、解析プラットフォームとしての UNIX や R の使い方と NGS データの基本的な取扱い、統計的な考え方などを習得する基礎的なコース、「RNA-seq 入門」は、実際に RNA-seq データを処理し、統計解析を行って生物学的に有用な結果を得るまでの流れを習得する実践的なコースで、両者を合わせて受講することで、 RNA-seq 解析の基礎から実践までを学ぶことができます。
今年度はRNA-seq 入門のみのコースを夏に、 NGS 解析入門と RNA-seq 入門のフルコースを冬に開催しました。コースはオンサイト、オンラインのハイブリッドでの開催で、オンサイトで参加する受講生にはきめ細かいサポートを提供するとともに、遠隔地からでも気楽に参加できるというオンラインのメリットを生かして、オンラインで聴講のみを行う聴講生としての参加も可能です。オンライン聴講を可能にしたことで希望者の多くに参加していただけるようになり、各コースの参加者の合計は200〜300名程度にまで増加しています。今年度から、基礎生物学研究所の計算機システムを岡﨑共通研究施設計算科学研究センター(RCCS)と統合したことにより、実習もRCCSのシステムを使って行うようになりました。また、近年のAI関連技術やツールの進展に対応して、昨年度からNGS解析入門の中に取り入れたAI解析入門のセクションも好評でした。今後とも内容や方式についての検討を重ね、より良いコースにしていきたいと思います。
オーガナイザー 内山 郁夫(超階層生物学センター データ統合解析室)
Program
「RNA-seq入門 : RNA-seq解析パイプライン」2025年3月5日(水)10:00 ~ 6日(木)18:30
RNA-seq入門 概論
NGS基本データフォーマット復習
NGS基本ツール:Bowtie2、samtools、IGVなど
RNA-seq基礎・トランスクリプトベース・ゲノムベース・de novo
多変量解析
機能アノテーションと GO 解析
実践演習
まとめ