基礎生物学研究所
Organizers | 講師:鈴木賢一(NIBB/広島大学)、 重信秀治、新美輝幸、成瀬清(NIBB) レクチャー:鈴木賢一(NIBB/広島大学)、毛利達磨(NIPS)、大塚正人(東海大学) オーガナイザー:鈴木賢一(NIBB/広島大学)、 重信秀治、上野直人(NIBB) |
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Venue | 基礎生物学研究所 | |
Date | Jan. 16-17, 2020 | |
Link | ウェブサイト (https://www.nibb.ac.jp/newmodel_course19/) | |
近年のシーケンス技術やゲノム編集技術の目覚ましい進歩によって、新しいモデル生物の開発が可能になってきました。モデル生物の整備のためには、生物の安定的な飼育・繁殖、ゲノム・トランスクリプトーム等遺伝情報の整備に加え、機能解析のための実験操作技術の確立が肝要です。なかでも、マイクロインジェクションはゲノム編集やRNAiなど多くの機能操作に用いられる基盤技術です。しかしながら、マイクロインジェクションはそれぞれの対象生物種ごとに最適な方法や条件が異なり、固有のノウハウを要することから、その開発と習得は新規モデル生物開発の障壁となっています。そこで、多様な新規モデル生物開発を推進している基礎生物学研究所では、マイクロインジェクションの技術講習会を開催いたします。2日間の日程で、両生類(イベリアトゲイモリ)、昆虫(アブラムシ、シミ)、小型魚類(メダカ)を用いた実習を行います。さらに、マイクロインジェクションを応用した機能解析技術に関するレクチャーも行います。
受講者数
14名
開催報告
近年のシーケンス技術やゲノム編集技術の目覚ましい進歩によって、新しいモデル生物の開発が可能になってきました。モデル生物の整備のためには、生物の安定的な飼育・繁殖、ゲノム・トランスクリプトーム等遺伝情報の整備に加え、機能解析のための実験操作技術の確立が肝要です。なかでも、マイクロインジェクションはゲノム編集やRNAiなど多くの機能操作に用いられる基盤技術です。しかしながら、マイクロインジェクションはそれぞれの対象生物種ごとに最適な方法や条件が異なり、固有のノウハウを要することから、その開発と習得は新規モデル生物開発の障壁となっています。そこで、多様な新規モデル生物開発を推進している基礎生物学研究所では、マイクロインジェクションの技術講習会を企画しました。
研究者はもちろん学生や民間企業研究者を含む幅広い層の14名が参加しました。参加者を3つの班に分け、それぞれ両生類(イベリアトゲイモリ)、昆虫(アブラムシ、シミ)、小型魚類(メダカ)を用いた実習を2日間の日程で実施しました。それぞれの生物種の特性に合わせたインジェクションのノウハウを、実演を通して習得していただきました。生物種ごとの実習の後には、全員が集まり実習報告会にて、経験やノウハウを共有しました。2日目の午後には、マイクロインジェクションを応用した機能解析技術に関するレクチャーの時間を設け、主に所外から専門家を招聘して、マイクロインジェクションの歴史やゲノム編集に関する4題の講演をしていただきました。また、マイクロインジェクション機器の開発メーカーにも参加いただき、ユーザーと開発者の情報交換も実現しました。
参加者のアンケートからは、「市販のテキスト、論文やネットには掲載されていない”コツ”をいくつも知ることができ、大変参考になった」、「講師の先生方や他の受講生と情報交換ができた、参加者の皆さんと交流できたことも自分の財産になりました」などの声が聞かれ、大変好評であったことが伺えました。マイクロインジェクションは古くからある技術ですが、ゲノム編集など新しい技術を活かすために今後ますます重要性を持つ技術であることは間違いありません。我々基礎生物学研究所新規モデル生物開発センターは、研究者のニーズを掬い取りつつ、この古くて新しい技術の改良と普及に今後も取り組んでいきたいと思います。