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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

修了生の声

修了生の声 檜山武史さん

 hiyama.jpg私は、99年から02年まで博士後期過程の学生として基礎生物学研究所に在籍し、卒業後、同じ研究室の助手に着任いたしました。学生時代から研究を続けているナトリウムチャンネル分子Naxの研究を発展させ、現在は主に塩分/水分摂取行動制御の脳内機構とそれに関わる脳内センサー分子の研究を進めています。私が現在の研究室を選んだ最大の理由は、もちろん、尊敬する研究者である現上司の下で研究したいと考えたからですが、加えて、基礎生物学研究所を選んだ理由があります。それは、大学から独立した研究所であること、総研大の一翼として大学院生を受け入れる体制が整っていること、関西にも関東にも遠くないことです。 早くから研究者になることを目指していた私は、大学の研究室に残って学部生に交じって生活するよりも、プロの研究者に交じって、その雰囲気に早く慣れたいと考えていました。岡崎に来る前の2年間は、大学に籍を置きながら通産省系列の研究所にて実験をしていましたが、授業や手続きのために大学に戻らねばならないことも多く、研究所の中では、常に自分が場違いな存在であるという意識がありました。それに較べると基礎生物学研究所では、スタッフが総研大の教員を兼任していることもあり、大学院生が研究所の一員として扱われていて、大学に近い雰囲気だと思います。ですから、プロの緊張感を身近に感じながら、自分自身は大学院生として教育してもらえる理想的な環境だと感じています。また、大学共同利用機関であり関西と関東の間に位置する岡崎には、日本全国の研究者のみならず、海外から訪れた研究者が立ち寄る機会も多いので、岡崎に居ながらにして、セミナーなどで最前線の研究を聞く機会が非常に多いという利点もあります。 一方、大学に較べれば、同年代の仲間が少ないという欠点もありますので、自ら積極的に動いて他の研究室の学生と交流するバイタリティが欲しいです。今在籍している院生も、スポーツや趣味、勉強会を通じて交流しています。また、卒業後、民間企業への就職を希望する場合には、企業にいる卒業生が少ないために多少不利かもしれません。しかし、多くの方はアカデミック・ポジションに就くことを考えていらっしゃるでしょうから、特に問題ないと思います。大学に較べると、いろいろな研究機関を渡り歩いて来た人も多く、そうした方の経験談から留学や就職の情報を得る機会は、むしろ大学よりも多いと思います。 以上のように、研究者を目指している人にとっては、恵まれた環境と言えると思います。ただ、入学して暫くは、大学との雰囲気の違いに戸惑う人もいるかもしれません。大学とは気持ちを切り替えて、一足早くプロの研究者の仲間入りをするぐらいの気持ちで来てもらえれば、足りないところは補いながら、素晴らしい学生生活を自ら作っていけるのではないでしょうか。最後に改めて申し上げるならば、師事したいと思う素晴らしい先生を研究所の中に見つけられたのであれば、一般の大学とは違う環境であることを理由に進学を躊躇される必要はないと思います。末筆ながら、皆様に素晴らしい未来が開けるようお祈り申し上げます。
(2007年2月記)
 

檜山武史さん 略歴

1999 : 大阪大学大学院 基礎工学研究科 修士
2002 : 総合研究大学院大学 生命科学研究科 博士(理学)
2002-現在 : 基礎生物学研究所 統合神経生物学研究部門 助教