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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

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専攻長からのメッセージ

専攻長からのメッセージ

kiyokazu_agata_sokendai.jpg 最近は博士課程へ行く研究者が減ったと嘆く大学人が多い。学位を取った後の就職が難しくなったとか、大学の研究者や教員になったところで任期がついて、とてもやってられない、と言った理由が良く聞かれる。しかし、われわれより上の世代も<オーバードクター問題>といって、博士学位を取得しても全く大学教員のポストがないことが社会問題化していた。予備校の講師で生計を立てたり、配偶者の経済的支援の元で、研究を続ける人も多かった。私はというと博士課程の一時期に新聞配達をしていた。そんなにまでして研究者を目指していたのは、研究にわくわく感があり、研究をしたかったからである。

 

 分子生物学の台頭とともに、生物学は現象を個々の遺伝子レベルへと分解できるようになり、自分が決めたATGC配列で今まで理解不能だった生命現象を説明できるようになったのだ。そんなわくわく感のある生物学を長い間楽しめたのだから、若い頃に生活に困ったことも鬱になったことも古き良き思い出となった。今は、要素を分解して、この遺伝子が機能しなくなるとこんなことが起こるとわかっても、残念ながら昔のような高揚感はない。

 

 今では、<構成生物学>なる学問が謳われ、還元論に対して、逆に部品を組み立てればそうなるのかを検証する時代へと転換している。さらに、全ゲノム配列決定が容易になった時代に合わせるようにゲノム編集技術が開発され、今までにないわくわく感のある生物学が創出された。こんな生物学が成立するなんて誰が想像しただろうか。そう、諸君らの世代は、今までとは全く違う次元の生物学を楽しめる時代を生きているのだ。

 

 そんな若者の受け皿となるのが基礎生物学研究所だ。修士で就活するかどうかなんて考えることなく、5年間ひたすらわくわく感を求めて新しい生物学に没頭する。そんな場を提供するのが基礎生物学研究所だ。もちろん、新時代の実験進化学も逆進化学も基礎生物学研究所では可能だ。対象となる生き物のゲノム・シークエンスをし、その生物を飼育してゲノム編集をできるような環境が最も先鋭的に整備されているからだ。若い世代の参画で、基礎生物学研究所が世界のフロント研究所として認知される日は近い。わくわく感求める若者を研究所は待っている。

総合研究大学院大学 生命科学研究科 基礎生物学専攻
専攻長 阿形 清和