受験生向け情報

Home大学院 > 受験生向け情報 > 大学院生活

大学院生活

総研大生に基礎生物学研究所での大学院生活について語ってもらいました。

「基生研で大学院生活が送れる幸せ」

 

大橋 りえ(所属 : 神経細胞生物学研究室)

 

ohashi.jpg

 「情熱が空回りしない」

本気になって、ひたむきに研究に取り組む。やりたいと思ったことをやってみる。どちらも当たり前のようで当たり前にやることは難しい。しかし基生研ではそれができる環境が整っている。設備や機器が揃っているという意味においてだけでなく、学生の考え、姿勢を情熱的かつ冷静に受け止めてくれる人がたくさんいる。それ故、モチベーションを維持しながら、いや、徐々に上げながら大学院生活を送ることができる。自分の想いだけが停留しないという意味での居心地の良さがある。

 

「研究が生活になる」

朝、ラボへ行って、夜まで実験して、ディスカッションして、帰る。帰ったら、お風呂に入って、寝るだけ。単調で味気のない生活のようにも思えるけれど…。“あ、これ面白いかもしれない”と心拍数があがる。こんな興奮を感じる瞬間があるだけで幸せな気持ちになる。研究を真剣に楽しむという基生研の雰囲気が心地よい。研究を仕事とする人たちの中で過ごすことで、生活の中に研究が溶け込み、それが自然の流れとして回り始めるようになる。

 

「まわりは研究のプロばかり」

学生は少ないが、研究者はたくさんいる。だから、指導が濃い。研究の進め方、考え方、実験手法、論文の読み方・書き方、プレゼンの方法、等々…ラボのボスは学生のために多くの時間を費やしてくれる。他のラボの先生とのディスカッションの機会もある。その中で日頃から思考回路を鍛える訓練ができるのは非常に幸せな環境。もちろん、へこんで、悩んで、迷うことは日常茶飯事。でもプロの思考に触れ続ける刺激と、その結果自分の中に生じる危機感が、前に進むための一歩を踏み出す力になりうる。毎日がこの繰り返し。

 

「学生同士が遠いけれど近い」

大学と比較すると研究所には学生が圧倒的に少ない分、ラボ、学年を超えて交流がある。自分とは異なる研究分野に取り組む同世代との関わりが深いことは、単純に面白く、刺激的。また、ここにいる学生は研究者を目指しているという点で共通項がある。顔を合わせる機会や言葉を交わす頻度という意味では大学よりも少し遠く、けれど研究に対する価値観といった部分では近さを感じる学生同士の不思議な距離感は、互いにプラスに作用する。

 

「憧れから目標に」

研究者に対する漠然とした憧れを、具体的な目標へと変えることができる。大学院生からPIに至るまで、研究という世界に身を置く様々な人たちがいる。自分に足りないものは何か…、目指すものと今の自分との差が明確に見えてくる。研究者としてきちんと独り立ちするために、大学院生の自分は今何に重きをおくべきか、常に意識できる環境であることに感謝している。(2015年記)

「総研大の紹介」

 

小菅 晃太郎(所属 : 環境光生物学研究部門)

 

kosuge.jpg

 私が基礎生物学研究所と出会ったのは大学2年生のときです。授業のために講義棟に入ってふらっと歩いていると、たまたま目に入ったポスター。基生研の体験入学の募集でした。パソコンで調べてみると、ここは研究者を育成するための大学院があり、最先端の研究を行っていて…….。研究者を目指していた私にはちょうどいい機会だとすぐに応募しました。そして、後にこれがきっかけとなり入学することとなります。

 

 さて、基礎生物学研究所において院生の所属は「総合研究大学院大学 生命科学研究科 基礎生物学専攻」となります。総研大は、知名度は低いものの日本で最初にできた大学院大学であり、高い専門性と幅広い視野を持ったトップレベルの研究者を育成するための機関です。少人数制の教育を行っており、国公私立を問わず全国から志を高く持った者が集います。研究所において少人数制ですから、院生より研究者の数が多く、一般的な総合大学に比べピリっと緊張感に満ちた空間が形成されています。また、院生同士で交流することは比較的少ないと言う点はあるものの、その反面、教員やポスドクとディスカッション等の機会が増え自身の大きな成長につながります。

 

 研究所は愛知県岡崎市の中心部に建っています。岡崎市は愛知県の中核市の一つで、名古屋まで電車で30分弱の所ですからそこまで便は悪くありません。しかし、研究所の周りはコンビニが少しある程度で、いわゆる若者向けの遊び場所は少なく、院生は存分に研究活動に打ち込むことができます。

 

 各研究室ではそれぞれの分野で、世界最先端の研究が展開されています。基生研は生物学分野では、国内最高レベルの研究環境が整っていますし、それもこの大学の魅力の一つです。また、在学生の多くも卒業用件の一つとして著名な国際雑誌に載せることを目標として研究を行っています。このような卒業用件は他の大学院と比較して厳しいものがあるかも知れませんし、一定のリスクも存在します。しかし、私は大学院という比較的早い時期から世界の最先端の研究に触れてみたいという思いにかられて基生研の門をたたきました。ちなみに今年度在学生は発生生物学誌Developmentや総合学術雑誌のNature Communications 等のハイレベルな国際雑誌に論文を載せています。

 

 総研大の中でも基礎生物学専攻は、勉学に対してはかなりリベラルな方だと思います。必修の授業はほとんどなく、一日を自分でアレンジできます。しかしこれは研究のみをして学位を取ればいいと言うわけではありません。開講されている多様な授業は専攻を超えて受講することも可能ですし、ネイティブ講師による英語のスピーキングやプレゼンテーションの授業もあり、国際学会等でも通用する英語能力を身につけることができます。所内セミナーも頻繁に開催されますし、海外から著名な研究者やインターンシップの学生も多く訪れ交流する機会に恵まれます。つまり、総研大はモチベーションが高いアグレッシブな人に向くところであると思います。

 

 大学院は学部と同じ研究室に所属することが一般的である中、総研大に進学することは、自分の大学を捨て、新たな環境に飛び込んで生活をすることになります。それには一定の勇気がいることですが、国際的な研究にあこがれを持っている人には目指してみる価値があるかもしれません。(2015年記)

 

「院生として研究機関に所属している強み」

 

養老 瑛美子(所属 : 共生システム研究部門)

 

yoro.jpg 研究所というのは、年に数回の大きなシンポジウムに加えて、普段から国内外からの学生や教員の出入りも激しく、その度ごとに頻繁にセミナーが開催されるため、多様な分野の最新の貴重なお話を聞ける機会がとても多いです。他にも、私は有志の学生や教員が主催している定期的なセミナーにいくつか参加しており、新しい知識 を得るだけでなく、研究者同士や研究者を目指す学生同士のネットワーク形成に繋がっています。

 また、研究室間の敷居が低いとも感じています。共用機器や設備、 及びそのサポート体制のみならず、学生一人に付き複数の担当教員制度が敷かれています。所属研究室以外の先生と自分の研究の話をしてみると、普段の研究室内のセミナーでは指摘されなかったような違った視点からの疑問が新たに生まれたり、貴重なアドバイスを頂いたりすることができました。

 

「総研大生としての強み」

 総研大は、専門分野は理系文系をも超えた全国各地の基盤機関で学び、「研究者」 を目指す学生で構成されています。私は、そんな多様な総研大生同士で、「研究者にとって重要なこと」を伝えるセミナーを企画する活動に参加しました。はじめはコミュニケーションをとるのにも一苦労で、お互いを尊重しつつも意見し合い、一つ のものを作り上げるのは大変でした。しかし、普段はロケットを作っていたり、睡眠の研究をしていたり、動物と人間との関係を文化人類学の視点から研究していたり、と総研大ならではの様々な広い人間関係が築けたことで、私の世界は何層にも広がりました。また、自分の研究の魅力は? 専門分野外の人にどのようにアピールすればいいのか? を考える良いきっかけにもなりました。

 一人でできることには限界があり、「研究者」には、特に広いネットワークが大切であると強く感じています。私は、上にあげた基礎生物学研究所と総研大に所属している強みを存分に活かし、今後も良い刺激を受けながら研究に専念していきたいと思っています。(2011年記)

総合研究大学院大学 海外学生派遣事業 アメリカ滞在記

 

福島 健児 (所属 : 生物進化研究部門)

 

fukushima.jpg基礎生物学研究所は、様々な生物を研究材料にしている点が特徴です。極端な例では、食虫植物を対象にした研究も進行しています。その極端な例というのがかくいう私の研究です。食虫植物のような非モデル生物を材料にする場合、多くの実験技術を独自に開発する必要があります。なかでも、遺伝子の機能を抑えたり、逆に過剰に働かせたりする技術の確立は、研究遂行のために必須でありながらチャレンジングな課題でした。そこで私が目をつけたのは、植物に感染するウイルスを用いる方法でしたが、さて困りました。国内にはあまり浸透していない技術だったので、 国内の研究機関で習うということが難しかったのです。そんな折に、指導教員の長谷部光泰教授に勧められたのが総研大の海外学生派遣事業です。この制度を利用すれば、海外の研究室に単身で滞在するにあたって、必要な経費の補助を受けることができます。5年一貫制博士課程1年の冬、私は海外学生派遣事業に応募し、ハーバード大学 Elena Kramer 教授のもとで食虫植物に対するウイルス誘導性遺伝子抑制法の開発を行うことにしました。

 

dogs.jpgハーバード大学の広大なキャンパスの中、やっとの思いで Kramer 研究室を探し当て、ドアをノックしたときに真っ先に歓迎してくれたのは、教授でもラボメンバーでもなく、二匹のラブラドール犬でした。教授室の一角に陣取り、授業にもついていくKramer教授の愛犬、OscarとGracieです。人懐っこいOscarにすり寄られ、 神経質な Gracie に吠えたてられながら、自由の国アメリカを感じました。国が違えば研究室も違うというのは当たり前かもしれませんが、なにしろ違いが大きいのでその戸惑いもひとしおです。到着してさっそく実験を始めようと思い、一般的な滅菌器の場所を尋ねたら、研究室の大学院生が身の丈よりも大きな物々しい雰囲気の機械の前で、その使い方を説明し始めたのには驚きました。日本で一般的な滅菌器はせいぜい腰の高さくらいだからです。その日から三週間、デスクルームではたまに Oscar と遊びながら(Gracie は相手をしてくれませんでした)、実験室では Kramer 教授に直接指導していただきながら楽しく過ごしました。研究室外での生活も充実していたと思います。ハーバード大学では、現地の大学院生から寝室を一部屋借りて滞在していました。スーパーマーケットの調味料売場は異国どころか異世界の様相でしたが、ルームメイトがたまに手料理を分けてくれたおかげもあって、極寒のボストンにあっても体調を崩すことなく過ごせました。

 

滞在期間中の実験で遺伝子抑制法の開発に見込みをつけ、ハーバード大学を離れたあとはカリフォルニア州タホ市で開催された発生進化学の学会に参加してポスター発表を行いました。総研大の海外学生派遣事業では、学会参加や複数の研究機関への訪問が認められています。高い自由度で派遣日程を計画できるのがこの制度のいいところです。学会では、各発表もさることながら、交わされた討論が素晴らしかったのを覚えています。これまでの発生進化学分野では、形態の進化にどのような遺伝子ネットワークが関与しているかが興味の対象でした。これからは、形態進化に関わる変異がどのように生み出されるのかという問題に対して、野外集団に目を向けながらアプローチするべきだとする意見が印象的でした。 発生進化学と集団遺伝学が融合され、新たな学問分野が生み出されつつあるのを肌で感じました。

 

fukuroyukinoshita.jpg学会参加後は、カリフォルニア大学バークレー校の Chelsea Specht 教授の研究室に立ち寄ってセミナー発表を行いました。博士取得までの私の研究方針に対してアドバイスをもらうためです。学会などでの英語口頭発表の経験はありませんでしたが、長谷部研究室では全員が英語で発表するプログレスセミナーを毎月開催しているので、その経験が助けになりました。セミナーで Specht 研究室のメンバーから様々なアドバイスをもらった後は、数少ない食虫植物研究仲間である Tanya Renner とお互いの研究内容についてディスカッションしました。その後、カリフォルニア大学デービス校を訪問して、Neelima Sinha 教授の研究室でも同じようにセミナーで発表させていただきました。

 

学生海外派遣事業を利用した訪米は、非常に価値ある経験となりました。英語能力が向上したことや自身の研究に新たなアプローチを付加できたことだけではなく、海外の研究者とのコミュニティ形成も、得られた成果の一つではないかと思っています。今回のアメリカ滞在で多くの方から受けた御恩は、今後の研究進展に代えてお返ししたいと考えています。(2011年記)