研究成果

セロトニンの視覚に果たす役割を解明 ~鮮明な視覚像を得るための脳の仕組み~

脳生物学研究部門の山森哲雄教授らの研究グループはセロトニン受容体の1Bおよび2A遺伝子が、大脳皮質の一次視覚野の神経細胞で特に強く発現していることを発見し、大阪大学の佐藤宏道教授のグループと共同で、セロトニンが脳内における視覚の情報処理において、雑音(ノイズ)を減少させる役割と、視覚刺激のコントラストを適当な強さに調節する役割を持つことを明らかにしました。この成果は神経科学専門誌"Cerebral Cortex"に掲載されました。研究の詳細は、基礎生物学研究所プレスリリースをご覧下さい。

植物種子の発芽エネルギー生成に必須な新規輸送体を発見

高次細胞機構研究部門の新井祐子研究員、林誠准教授、西村幹夫教授は、種子の発芽時のエネルギー生成に必須となるタンパク質PNCを発見しました。このタンパク質は、貯蔵脂肪の燃焼に必要なATPを脂肪代謝の場、ペルオキシソームに運ぶ「輸送体」と呼ばれる種類のタンパク質です。PNC遺伝子の発現を抑制したシロイヌナズナ種子では、脂肪代謝が上手く進まず、健全に発芽することが出来なくなることが明らかになりました。この成果は学術雑誌"The Plant Cell"2008年12月号に掲載されました。研究の詳細は、基礎生物学研究所プレスリリースをご覧下さい。

マナマコの放卵・放精を誘発する神経ホルモンを発見

九州大学吉国通庸教授、基礎生物学研究所大野薫助教、養殖研究所山野恵祐チーム長らの研究グループは、マナマコの放卵・放精(生殖行動)を誘発する神経ホルモン「クビフリン」を発見し、このホルモンを用いた産卵誘発法を開発しました。干しナマコは、中国において高級食材として流通しており、その消費の急拡大をうけて、国産のマナマコの水揚げと輸出量が急増しています。一方で、干しナマコの原料であるマナマコ資源の保護と育成が急務となっています。今回、吉国らが開発した方法を用いることで、稚ナマコの生産を効率的に行うことが出来るようになります。研究の詳細は、基礎生物学研究所プレスリリースをご覧下さい。

ERボディの形成機構を解明

高次細胞機構研究部門の山田健志助教および西村幹夫教授らは、京都大学大学院理学研究科の永野惇大学院生および西村いくこ教授と共同して、植物の小胞体から形成される細胞内小器官(オルガネラ)、ERボディの形成機構を明らかにしました。研究グループが発見した遺伝子NAI2は、ERボディ形成に必須であり、NAI2遺伝子が欠損すると、ERボディは全く形成されないことが明らかになりました。この研究成果は2008年9月9日、雑誌「The Plant Cell」に掲載されました。詳しくは基礎生物学研究所プレスリリースをご覧下さい。