研究

大隅良典教授が2008年度朝日賞を受賞

基礎生物学研究所の大隅良典教授が今年度の朝日賞を受賞しました。朝日賞は学術、芸術などの分野で傑出した業績をあげ、日本の文化や社会の発展、向上に貢献した個人・団体に朝日新聞文化財団より贈られる賞で、元旦の紙面で受賞者が発表されます。大隅教授は、オートファジー(自食作用)という、細胞内のたんぱく質や細胞小器官を分解する現象を酵母で発見し、そのメカニズムについて解明してきました。オートファジーは、細胞が飢餓状態に陥った時のエネルギー生成システムとして、また異常なたんぱく質の蓄積を防ぐ細胞内の浄化システムとして、ヒトを含む多くの生物の様々な生命活動において重要な役割を果たしていることがわかってきています。大隅教授率いる研究グループの、世界を大きくリードする成果が認められ、今回の受賞となりました。

大隅教授は今回の受賞について
「暮れに記者による長時間の取材を受けましたが、新聞記事の内容は本人には見せないと言うことで元旦には、いささか緊張して紙面を開きました。Web siteで見るその長い歴史と蒼々たる過去の受賞者をみるにつけ、私がこの賞に相応しいのかと思いに駆られますが、これまで展開してきた我々のグループに対する一つの評価であり、沢山の方々の支援の賜物と思って、素直に感謝しようと思います。この間、思いも掛けない多数の人からもお祝いの言葉を頂きました。心から御礼申し上げます。
 私は賞などから最も遠い人間であることを自負してきましたし、いつも流行を追わずに楽しくサイエンスをやろうと言うことを言い続けて来ました。小さな発見が現在いささか過剰ではないかと思える程のオートファジーの領域の展開に繋がったことには、大きな感慨があります。基礎生物学研究所と言う、大変恵まれた研究環境と十分な研究費のサポートにも感謝したいと思います。4月から、新天地でもう一度熱い研究室を作ってみたいと思っています。」
と語っています。

贈呈式は1月28日に東京で行われました。

大隅教授朝日賞受賞   大隅教授研究室にて
(写真左:帝国ホテルで行われた贈呈式にて。右:研究室にて酵母と共に。)