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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

国際連携

EMBL - 連携活動

EMBO Workshop "Morphogen gradients" 2013参加報告 (三井優輔)

Venue Oxford University, UK
Date Jun. 26 – 29, 2013

 2013年6月26〜29日にイギリス・オックスフォードで開催されたEMBO workshop “morphogen gradient”に、高田教授、大学院生の篠塚君とともに参加しました。“morphogen gradient” とは日本語では「モルフォゲンの濃度勾配」となります、そのまま過ぎて訳になっていませんね。モルフォゲンというのは「拡散などによって、場所による濃度の違いを生じ、それにより位置情報を与える物質」のことです。そのモルフォゲンを主題にして、如何に濃度勾配が形成されるか、あるいは濃度勾配がどのように解釈されるかについて、とことん議論するという最先端かつマニアックな場でした。オーガナイザーはAlex SchierとJames Briscoeというこの分野を代表する方々で、他にもMarcos Gonzalez GaitanやBenny Shiloなどtop journalで何度も名前を目にしたことがある科学者達と過ごした4日間でした。まだ論文として発表されていない最新のデータなども数多くあり、例えば組織の成長とモルフォゲンの勾配を如何に釣り合わせるかというscalingの問題が話題になるなど、一昔前のモルフォゲンを可視化して一仕事という段階は、もはや過去のものという印象を強く受けました。参加者は50名ほどで、それが隙間無く収まる程度の小さな階段教室でひたすらモルフォゲンについて4日間議論するということで、これまで参加したどの学会よりも濃く深いものでした。当然お互いの顔もだいたい覚えてしまいます。その中でも一際強いオーラを放っていたのがMike Levineでした。独特の雰囲気で会場を沸かせたり、鋭い意見を差し込んだりで、ものすごい迫力でした。彼自身の仕事の話もエンハンサーの制御に関する非常に先鋭的な説を美しいデータを示したもので、私はすっかり虜になってしまいました。活発な議論の中で私はフォローに精一杯で口頭発表の場では議論に加わる事が難しかったのが反省点です。しかしポスターセッションでは多くの人と自分のデータに関して、あるいは他のポスター発表者のデータに関して突っ込んだ議論ができ、大変有意義だったと思います。

 私自身は初めてのイギリス訪問ということもあり、アメリカとは全く違う雰囲気を味わえて楽しかったです。会場はoxford大学の中のLady Margaret Hallというところで、夏休み期間の間、学会会場として貸し出されていたようですが、建物や周りの庭園から歴史の重みが伝わってくる気がしました。裏庭の池には鴨の親子が泳いでいたり、珍しい植物がたくさん植わっていたりで、休憩時間の間にもいろいろと発見がありました。学会が終わってから少しだけロンドン市内を見る時間がありました。市内はちょうどLGBTのお祭りで大変盛り上がっていました。そんな中、憧れの大英博物館を見る事ができたほか、テムズ川で鰻を釣るおじさんと話をするなど、貴重な体験となりました。

 

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