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2011.09.28

分子環境生物学研究部門の井口泰泉教授が日本動物学会賞を受賞しました

分子環境生物学研究部門の井口泰泉教授が平成23年度日本動物学会賞を受賞し、9月22日に受賞式と受賞講演が日本動物学会旭川大会にて行われました。

 

日本動物学会賞の研究内容

「内分泌かく乱化学物質の生物影響に関する研究」

 

井口教授による受賞コメント:

脊椎動物の性ホルモンや甲状腺ホルモン分泌のタイミングや分泌量は発生や生殖に伴い厳密にコントロールされている。環境中に放出されている物質の中で、動物の体内に入り性ホルモン受容体や核内受容体に結合して必要ない時期にホルモン作用やホルモン阻害作用を示したり、また、ホルモン合成酵素の作用を乱すことにより、胚発生、成長や生殖に悪影響を及ぼす物質を内分泌かく乱物質(環境ホルモン)と呼んでいる。特にエストロゲン作用を示す化学物質が多い。発生の臨界期のマウスへのエストロゲン曝露による生殖器官の不可逆的細胞増殖のメカニズム、化学物質による核内受容体を介した脂肪細胞分化・肥満のメカニズム、無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類や鳥類から単離したエストロゲン受容体の化学物質応答の種差や、ナメクジウオやヤツメウナギからの脊椎動物のエストロゲン受容体の進化、化学物質によるオオミジンコの雄産仔の発見から雄への分化決定遺伝子の発見など、ホルモンやホルモン作用をもつ化学物質による動物への影響の基礎的研究が認められたものである。今後は、環境依存性の性決定の理解に向けて、オオミジンコの研究を進めるとともに、アメリカワニやカメ類の温度依存性性決定のメカニズムの解明を目指したい。

 

110928_iguchi.jpg 井口泰泉教授