基礎生物学研究所
2005.02.15
生物進化研究部門の長谷部教授らの論文(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102巻7号2436-2441)が米国アカデミー紀要のThis Week in PNASに選ばれました(2005年2月15日)。
被子植物の花を形作る遺伝子、すなわち花形成のホメオティックセレクター遺伝子のほとんどはMADS-box遺伝子と呼ばれる転写因子です。どのような分子機構の変化によって花が進化したのかを解明するために、生物進化研究部門では花の咲かない植物におけるMADS-box遺伝子の機能解析を行っています。今回の研究により、陸上植物に最も近縁なジャジクモ藻類からMADS-box遺伝子が単離され、これらの藻類では卵精子形成に関わっているらしいことがわかりました。また、被子植物はたくさんのMADS-box遺伝子を持っていますが、シャジクモ藻類は少数のMADS-box遺伝子しか持ってないらしく、遺伝子数の増加とその後の機能分化によって花が進化してきたらしいことがわかりました。本研究は東京大学大学院総合文化研究科広域科学科伊藤元己助教授、東京大学大学院総合文化研究科生命認知科学科関本弘之助手、東京大学大学院理学系研究科野崎久義助教授らの研究室と共同で行ったものです。