English

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

ニュース

お知らせ

2002.01.01

勝木所長年頭ご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
 昨年の4月に所長に就任して、8ヶ月が過ぎましたが、基礎生物学研究所の「静かに、落ち着いて、深く考え、研究に没頭できる」環境こそ、これからも、最も大切にしていかなければならないことだと判りました。それには、所員の皆さんが、所員であることの誇りを持って行動していただくことに尽きると思っています。今年も、元気で溌剌とした研究活動を期待しています。

 さて、現在のこの環境に大きな変化を与えかねない問題が、今年は大詰めを迎えます。それは、国立・大学共同研究機関の法人化に関することです。
 法人化問題は、公務員の削減問題に端を発し、国立大学の法人化と並んで、この3年間、様々な議論が闘わされてきました。その背景には、我が国の破綻に貧した経済の状況があることは明らかです。そこで、科学技術の振興が、不況打開の柱として、今年度政府予算にも盛り込まれ、それに伴う企業からの強い大学・研究所への期待が表明されています。これらの期待に対して、私たちも、充分に配慮し、応えて行かなくてはなりません。
 但し、私たちに期待されているのは、企業に直接すぐに応えることではないでしょう。それは率直に言って、無理というものです。むしろ、これまで通り、それぞれの人たちが、それぞれの立場で、それぞれの研究テーマのリーダーのもと、自らを深く掘り下げた研究活動を行うことではないでしょうか。ここにこそ、内発的な「学術研究」を使命とする基生研の役割があります。その創造的な活動の成果は、やがて社会のなかに還元され、種となって、大輪の花を咲かせるもとになるものと確信しています。
 
 近年の科学技術政策では、基礎研究から応用までという道筋を描いて、それを「戦略的」という枠組みで括り、学術研究をも基礎研究として総動員する仕掛けが注目されています。もちろん、私たちの研究には、そのような基礎研究の要素もありますから、充分これからも協力しますし、場合によっては基生研からもリーダーとして活躍する先生も出るでしょう。その場合には、大いに励ましていくつもりでおります。
 しかし、私たちの使命は、自らを深く掘り下げて、自らのなかに発見する「謎」を解き明かすことによってしか出来ない「学術研究」です。そして、その成果を世に出すことではないでしょうか。
 
 この原則を踏み外すことがないように、法人化問題に対処していくつもりです。この問題に限らず、所長室はいつでも開放しておりますので、雑談でも構いませんから、遠慮せずにどんどんおいで下さい。

 今年も、元気で、溌剌とした研究活動をお願いして、新年のご挨拶と致します。

平成14年1月1日

写真

syotyou.jpeg