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2014年01月16日
メダカはずっとそばにいてくれた異性に恋をする ~ 恋ごころスイッチの発見 ~

東京大学大学院理学系研究科の奥山輝大博士(現マサチューセッツ工科大学)、竹内秀明助教らと基礎生物学研究所(バイオリソース研究室 成瀬清准教授、生物機能解析センター光学解析室 亀井保博特任准教授)などからなる研究グループは、メダカのメスがそばにいた異性を目で見て記憶し、性的パートナーとして積極的に受け入れることを発見した。オスとメスを透明なガラスで仕切ってお見合いをさせておくと、メスは目で見ていた「そばにいたオス」の求愛をすぐに受け入れ、他の恋敵のオスはメスをめぐる闘いに敗北する。さらに、性的パートナーを受け入れる際に、拒絶から受け入れへとモードを切り替えるための神経細胞を同定した。お見合いをすると、メスの脳では終神経GnRH3ニューロンとよばれる大型神経細胞の電気的活動が活性化し、この神経細胞がメスの「恋ごころスイッチ」として機能することが明らかになった。さらに、遺伝子操作により、この神経細胞の働きをコントロールすることで、メスがオスの求愛を受け入れるかどうかを人工的に操作することにも成功した。メダカの「恋ごころスイッチ」と同様の機能を持つ神経細胞をヒトの脳で探すことで、将来的にヒトが恋に落ちる仕組みがわかるかもしれない。この研究成果はScience(2014年1月3日)に掲載された。

 

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写真)(株)ドキュメンタリーチャンネル・藤原英史 / 東京大学・竹内秀明

 

研究の詳細はリンク先の東京大学のプレスリリースをご覧下さい。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2014/01.html

 

本研究は基礎生物学研究所・重点共同利用研究の一環として実施された。共同利用者である岡良隆教授(東京大学)はTN-GnRH3ニューロンの電気生理学的解析を全面的にサポートした。また第一著者である奥山輝大博士は2012年4月から日本学術振興会特別研究員SPDとして基礎生物学研究所バイオリソース研究室に所属している。重点共同利用研究の3名の所内対応者が本研究に参加した。田中実准教授はメダカモルファントcxcr-4, cxcr-7)や遺伝子導入系統(olvas-GFP)の利用をサポートした。亀井保博特任准教授はIR-LEGO法によるTN-GnRH3ニューロンの破壊実験をサポートし、Tilling法によるgnrh3変異体の作製を共同で実施した。成瀬清准教授は研究立ち上げ当初から、研究デザインや実験手法に関するディスカッションに参加するとともにNBRPメダカ中核機関を通じて様々なバイオリソースの提供を行った。重点共同利用研究によって国内のメダカバイオリソースおよび最先端技術をスムースに利用できたことが、本研究の成果に繋がり、社会神経科学と小型魚類の分子遺伝学が融合した新規な学術分野を切り拓くことができた。

竹内秀明(東京大学)

 

発表雑誌

Science

論文タイトル:

A neural mechanism underlying mating preferences for familiar individuals in medaka fish.

著者:

Teruhiro Okuyama, Saori Yokoi, Hideki Abe, Yasuko Isoe, Yuji Suehiro, Haruka Imada, Minoru Tanaka, Takashi Kawasaki, Shunsuke Yuba, Yoshihito Taniguchi, Yasuhiro Kamei, Kataaki Okubo, Atsuko Shimada, Kiyoshi Naruse, Hiroyuki Takeda, Yoshitaka Oka, Takeo Kubo, Hideaki Takeuchi.

 

基礎生物学研究所: 重点共同利用研究

「ヒトの社会を支える脳神経基盤と行動法則の解明を目指した生医工連携研究の確立」

研究期間: 2010年4月 - 2011年3月    代表者: 竹内秀明(東京大学)

 

基礎生物学研究所: 重点共同利用研究

「脊椎度物の社会性を生み出す脳神経基盤と行動法則の解明を目指した生医工連携研究の確立」

研究期間: 2011年4月 - 2013年3月    代表者: 竹内秀明(東京大学)