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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

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研究報告

2012.08.06

Dynamic microtubules at the vegetal cortex predict the embryonic axis in zebrafish

動物の背腹は発生初期の胚の中で起こる分子の偏りによって決定されると考えられています。アフリカツメガエルなど両生類では受精後卵の表層が回転(cortical rotation)することに伴い背側細胞質に微小管アレイが発達し、将来背側を決定する因子(背側決定因子)が卵の植物極側から将来の背側に移動すると言われています。基礎生物学研究所と国際連携を結ぶシンガポールTemasek Lifescience Laboratories (TLL)のKaruna Sampath博士(写真左)らは、名古屋大学、基礎生物学研究所との共同研究で魚類であるゼブラフィッシュでも受精直後に同様の微小管アレイの形成が見られ、微小管アレイに沿って背側決定因子の候補であるWnt8のmRNAが将来の背側に運ばれることを明らかにしました。この研究は背側決定因子が運搬されるメカニズムは両生類、魚類でかなり共通しており、微小管動態が重要な鍵を握っていることを明らかにしたものです。筆頭著者の大学院生Long Duc Tranさんはアジア太平洋発生生物学ネットワーク(APDBN)の支援を受け、2009年に短期間、基礎生物研究所形態形成研究部門(上野直人教授:写真右)で微小管動態をライブイメージングで観察する技術を学び、その技術をSampath研究室に持ち帰って本研究を完成させました。本研究は基礎生物学研究所とTLLの国際連携が実を結んだ共同研究成果といえるでしょう。

 

本研究は発生生物学専門誌Development 139巻 (2012年)に発表されます。

 

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左からTLLのKaruna Sampath博士、Long Duc Tranさん、基礎生物学研究所の上野直人教授