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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

ニュース

お知らせ

2003.04.01

勝木所長 新年度のご挨拶

本日から、平成15年度が始まりました。
 岡崎共同研究機構 基礎生物学研究所(基生研)に入所されたすべての皆さん、私は、基生研を代表して、皆さんに歓迎の意を表します。
 皆さんは、今から、基生研の一員として、誇りを持って、自らの仕事に励んでください。すべての仕事には、義務と責任とがあります。
 基生研は学問をするところです。それを助けること、広めること、安全や環境を整備することなども、学問の遂行にとって必須のことです。その担当になった方は、大きな意味で学問に貢献をしているのですから、誇りを持って仕事に当たってください。学問の成果が基生研から生まれるのは、こうしたすべての努力の総合力によるのです。
 「一人はすべてのために、すべては一人のために」、お互いに協力して、気持ちよく、それぞれの立場や仕事内容は違っても、連絡、相談、報告を確実に、なるべく顔を合わせて丁寧に行ってください。
 そのためには、まず、「おはよう、こんにちは、こんばんは、ごめんなさい、ありがとう、さようなら」を忘れないように致しましょう。
 これが所長からのお願いと期待であります。

 さて、本年2月末日に、国立大学法人法案が閣議決定され、大学共同利用機関法人も、国立大学法人の類型として、国立大学法人と同時に平成16年度から発足するための法案が今国会に上程されることになりました。
 基礎生物学研究所は、大学共同利用機関法人・自然科学研究機構に設置される大学共同利用機関の一つとして、文部科学省令に記載される予定です。法人の業務は、学術研究を行うこととされておりますから、その限りにおいて問題はないはずです。
 静かに、落ち着いて、深く考えることから出発するのが学術研究です。そしてその成果は、教育や医療などと同様に、公共性が高く、貧富に関係なくその恩恵が行き渡ることから、これまで教職員は国家公務員でしたが、法人化後は、すべての教職員が非公務員になります。まだ詳細が決まっているわけではありませんが、本年度をもって、専任教職員、非常勤教職員、アルバイトなどの雇員などすべての職員が身分を変更されます。継続性については、現在のところ、確かな保証はありませんが、今年度をかけて、皆さんと話し合っていくことになると思います。また、一旦、公務員を辞職して(非常勤の場合も一旦辞職することになるでしょう)、あらためて法人に採用されるということになるものと思われます。これは、法律による、国立研究機関から、非公務員型の法人への前提の変更ですので、皆さんのご理解をお願い致します。

 基礎生物学研究所は、基礎生物学に関する総合的学術研究を行うことを目的に設置されました。この設置目的は、法人化後も変わりありません。教授を中心に、研究者、ポスドク、技術者、院生、非常勤職員、アルバイターなど、多くの職種の人々によって運営されていますが、すべては、学術研究を行うために最も良い組織とは何かを求めながら運営されています。スポンサーは、国ですが、法人化後もほとんどの運営費は国からの交付金に拠ることになっています。国立と異なるところは、法人にある程度の予算執行の裁量権が与えられることです。もちろん税金ですから、勝手に使うわけには行きません。目的に沿って、効率的に使用しなければ、毎年、大学評価機構による評価によって、次年度以降の予算額を減額される仕組みです。
 このことは、すべての職員が、目的に沿って成果を上げるべく全力を尽くすことを前提にしており、活動度の評価によっては、個人の去就や待遇の改善などに反映されることになるものと思われます。

 今、我が国は、未曾有の経済危機にあります。科学技術開発の力を原動力に経済を立て直そうとする政策が行われています。これに基生研は、本務の徹底的な遂行を通して、大いに協力したいと思います。
 基生研の役割は、科学技術の根本にあり、また経済に直接には役立たないけれども、国民を元気にし、精神を豊かにする学術研究を一層進めることにあるはずです。これこそが、経済再生の突破口なのです。
 文部科学省 科学技術・学術審議会 学術分科会でも、学術研究についての議論が始まりました。私も、科学官として列席しておりますので、進んで発言し、皆さんにも伝えていきたいと思います。

 「役に立ち、物質的豊かさに通じ、経済効果がある」研究だけを、多くの国民は私たちに期待しているとは思えません。文化や芸術のように、私たちの心の豊かさや、豊かな心を持って宇宙や地球、生物そして人類に関する知識を愛でる学術を広めることを期待されていると信じます。今後、この欄を通して、これらのことについて、私の考えをお伝えしたいと思います。

学術研究とは何か。
学問の自由とは何か。
基生研は何をするところか。
基生研の経営とは何か。
自然科学研究機構・機構長および所長の役割と組織について。

などです。
 皆さん、明るく、元気に、心の底から愉快で、自由闊達な理想の学問の場を作りましょう。

平成15年4月1日
基礎生物学研究所 所長 勝木元也

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