基礎生物学研究所
2000.10.06
遺伝子発現統御第一・飯田教授がアサガオの色変化解明に成功しました。
アサガオの原種は青色花であり、色素はB環に水酸基が2つ付いたシアニジン系のペオニジンに6分子のグルコースと3分子のコーヒー酸が結合したヘブンリーブルーアントシアニン(写真1)であり、アサガオの葉は赤紫色ですが開花に伴って鮮明な青色花となります。これは色素を溜込んだ花弁表層細胞内の液胞のpHが上昇するためです。
遺伝学的にはアサガオの青色はマゼンタ(Mg)とパープル(Pr)の2つの遺伝子が関与し、これら変異体は各々暗紅色と紫色の花を咲かせ、さらに両者の二重変異体は赤色花になります。Mg遺伝子はアントシアニンのB環を水酸化しシアニジンを合成する酸素遺伝子であり、Pr遺伝子は花弁液胞のナトリウムイオン(Na+)と水素イオン(H+)の交換輸送体の遺伝子であることを我々は明らかにしました。即ち、Mg遺伝子は色素生合成に、Pr遺伝子は花弁液胞のpHを上昇させて青色化させる機能に直接関わっていました。植物液胞Na+/H+交換輸送体遺伝子は耐塩性を賦与する機能が最近注目されていますが、花色の青色化機構への関与を今回明らかにできました。
写真1
掲載新聞・雑誌・書籍一覧
2000/10/6 中日新聞
2000/10/6 日刊工業新聞
2000/10/7 東海愛知新聞
2000/10/5 Nature