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シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana (L.) Heynh.) 2005/05/31

私たちが「本業」で主な研究材料に使っているのが、このシロイヌナズナである。市内で散見されるものは、実験系統と異なり、花芽形成に低温の経験が必要な、純然たる野生系統。同じアブラナ科のナズナに一見似ていて、混生することもあるが、属が異なり、実の形も完全に違う。一方、実の形が似たものにタネツケバナもあるが、葉が切れ込まず、実が熟してもはじけない点で、これとも明確に区別できる。
 日本では自生が珍しいことから、分類学者以外の植物研究者の間では、和名でなく属名(アラビドプシス)で呼ばれることも多い。この属名は、アラビス属に似て非なる属という意味。したがって、これを省略して「アラビ」と呼ぶのは、言葉の成り立ち上、好ましくない。2005年5月撮影。

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コンテンツ

  1. 岡崎の植物(53)
  2. 植物学者 塚谷裕一の調査旅行記(9)
著者紹介
塚谷 裕一
東京大学大学院理学系研究科 教授
元 基礎生物学研究所 客員教授
塚谷 裕一

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