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2005.09.29

末次憲之研究員(光情報研究部門)らが藻類からキメラ光受容体を発見

藻類から顕花植物に至る多くの植物では光屈性や葉緑体光定位運動に青色光が有効であるが、シダ・コケ植物や緑藻類の中にはこれらの反応誘導に青色光のみならず赤色光も利用するものが多い。シダ植物では進化の過程でフィトクロムとフォトトロピンのキメラ光受容体フィトクロム3 (PHY3) ができたことにより、効率よく赤色光を利用できるようになった。光情報研究部門の和田正三教授と末次憲之研究員はドイツのギーセン大学のグループとの共同研究により、葉緑体光定位運動で有名な緑藻ヒザオリからシダ PHY3 様キメラ光受容体を発見し、シダのPHY3 を含めたこれらのキメラ光受容体を“ネオクロム”と命名した。ヒザオリネオクロムはホウライシダのネオクロムタンパク質同様の光吸収特性を示し、さらに一過的発現によりホウライシダのネオクロム変異体の赤色光依存の葉緑体運動を回復したことから、ヒザオリとホウライシダネオクロムは機能的に同一である事がわかった。しかしながら、ネオクロム遺伝子はシダ植物とヒザオリで遺伝子構造が全く異なり、また原始的なシダ植物、コケ植物などに見つかっていない事から、シダ植物とヒザオリで偶然にも独立に創成された可能性が高い。

Suetsugu N, Mittmann F, Wagner G, Hughes J, Wada M.
A chimeric photoreceptor gene, NEOCHROME, has arisen twice during plant evolution.
Proc. Natl, Acad, Sci. U.S.A. 102, 13705-13709 (2005).

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Cover.gifPNAS

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