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2003.08.29

統合バイオサイエンスセンター・発生遺伝の小林悟教授が Science誌に論文掲載「ハエとマウスの生殖細胞の形成に同じタンパク質が関与」

科学技術振興事業団(研究代表者:統合バイオサイエンスセンター 小林悟教授)の戦略的創造研究推進事業の研究テーマ「生殖細胞の形成機構の解明とその哺乳動物への応用」で進めている研究において、国立遺伝学研究所 相賀裕美子教授らと小林悟教授の研究グループは RNA 結合蛋白質(※1)としてハエの生殖細胞の形成に関与することで注目されていた nanos 蛋白質が、哺乳類であるマウスで3種類同定され、そのうちの2つの遺伝子、nanos2 と nanos3 がマウスの初期生殖細胞の形成、及びその維持にかかわっていることを明らかにした。相賀教授らはnanos2 及び nanos3 それぞれの遺伝子が胎生期の始原生殖細胞(※2)に発現することを示し、またそれぞれの遺伝子ノックアウトマウスを作成し解析した結果、nanos2 欠損マウスは雄特異的にまた nanos3 欠損マウスは雄、雌両方において、生殖細胞を完全に欠損することを見いだした。今回、進化的に遠く離れたハエとマウスにおいて相同な遺伝子が同様に生殖細胞の形成に関与することを示したことで、生殖細胞形成の戦略が進化的に保存されておりまた nanos 蛋白質が生殖細胞の形成に重要な働きをもつことを証明した。本成果は、平成15年8月29日付の米国科学雑誌サイエンスに掲載された。

※1 RNA 結合蛋白質
RNA に結合して機能するタンパク質の総称。そのなかには、RNA そのものの形成、成熟に関する蛋白質や nanos のように RNA の翻訳調節に関与するタンパク質が含まれる。

※2 始原生殖細胞
生殖細胞の前駆細胞、最も初期の生殖細胞で雄、雌の区別はない。一般に始原生殖細胞は胚体外で形成され、移動して生殖巣に入ってから、精子や、卵子といった生殖細胞に分化していく。

掲載新聞・雑誌・書籍一覧

2004/08/29 毎日新聞
2004/08/29 Science