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2006.05.08

野田昌晴教授(統合神経生物学研究部門)が、リン酸化酵素の機能を制御するメカニズムを解明

本論文はBiology Reports Ltdの「Faculty of 1000」に最重要論文の一つとして取り上げられております。

神経回路形成等に必須なチロシンリン酸化酵素Ephの機能を制御するメカニズムを解明
自然科学研究機構・基礎生物学研究所・統合神経生物学研究部門(野田昌晴教授)は、神経回路の形成や血管形成、癌化などに重要な役割を果たしている受容体型チロシンリン酸化酵素であるEphの活性を制御するタンパク質を世界で初めて発見しました。
Ephはタンパク質内の特定のアミノ酸『チロシン』をリン酸化する酵素の一種であり、生体内の各組織に広く分布しています。Ephは発生期における神経回路網の形成や血管網の形成等において必須の役割を果たすとともに、成熟した動物においては記憶学習や免疫反応等にも関わり、様々な場面で重要な役割を果たしていることが知られています。さらに、Ephに異常が生じると癌の悪性化の原因になることも明らかになりつつあり、Ephが各組織において正常に機能することが動物の健康の維持に重要であると考えられています。
今回、研究チームは、網膜から脳への視神経回路の形成機構を解析することにより、タンパク質の中にあるリン酸化されているチロシンからリン酸を除去する酵素の一種Ptproが、Ephの活性を抑制している事を発見しました。これは、受容体型チロシンリン酸化酵素自身の活性化がホスファターゼによって制御されていることが示された最初です。PtproがEphの活性を制御するメカニズムの発見は、Ephの異常によって生じる様々な疾患の治療法を開発する手がかりとなるだけでなく、Ephが神経軸索の再生や幹細胞の維持に関与していることが示唆されていることから神経再生医療等に応用されることも期待されます。
本成果はJST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CRESTタイプ)の援助を受けて得られたものです。
本研究成果は米国科学雑誌「Nature Neuroscience」オンライン版に2006年5月7日(米国東部時間)に公開されました。

 

関連リンク

 

nature neuroscience(Full text)

写真

kaiken.jpg岡崎統合事務センターで行われた記者会見の様子

掲載新聞・雑誌・書籍一覧

 

2006/05/07 Nature Neuroscience(オンライン版)
2006/05/08 日刊工業新聞
2006/05/08 日経新聞
2006/05/08 読売新聞
2006/05/08 朝日新聞(夕)
2006/05/09 中日新聞