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2004.06.29

岡崎統合バイオサイエンスセンターの小林教授らが「生殖細胞と体細胞の分化のスイッチを担うタンパク質を発見」

生殖細胞と体細胞の分化のスイッチを担う分子として、Nanos(ナノス)タンパク質をショウジョウバエで同定した。Nanosタンパク質は進化的に保存されており、哺乳動物も含む多くの動物でNanosタンパク質が、生殖細胞と体細胞分化の重要なスイッチ役となっている可能性がある。Nanosタンパク質による“体細胞分化の抑制”、すなわち“未分化状態の維持” のメカニズム解明は、未分化幹細胞を用いた再生医療、生殖医療を目 指す今後の医療の基礎研究として重要な位置を占めると考えられる。

この発見は、戦略的創造研究推進事業 CRESTの研究テーマ「生殖細胞の形成機構の解明とその哺乳動物への応用」(研究代表者:小林悟 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構・岡崎統合バイオサイエンスセンター・基礎生物学研究所・教授)の研究グループによるもの。Nanosは生殖細胞の前駆細胞(極細胞)にのみ含まれるタンパク質である。Nanosタンパク質を欠く極細胞は、細胞死(アポトーシス)を起こして死んでしまうが、この細胞死がおこるのを人為的に抑制すると、本来は生殖細胞にしか分化しないはずの極細胞が体細胞に分化することを見い出した。
極細胞中では、Nanosタンパク質により体細胞分化が抑えられ、生殖細胞の分化が進行する。
本成果は、2004年6月28日週(アメリカ東部時間)の米国科学アカデミー紀要(Proceedeings of the National Academy of Science )オンライン版で公開され、2004年7月13日発行の同誌に掲載される。