English

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

  • Home
  • ニュース
  • > 感覚情報処理研究部門が「Development」誌に論文掲載「網膜前後軸方向の領域特異性はCBF-1が決定する」

ニュース

お知らせ

2003.10.17

感覚情報処理研究部門が「Development」誌に論文掲載「網膜前後軸方向の領域特異性はCBF-1が決定する」

"CBF1 controls the retinotectal topographical map along the anteroposterioraxis through multiple mechanisms"
Hiroo Takahashi‚ Takafumi Shintani‚ Hiraki Sakuta and Masaharu Noda
Development 130‚ pp. 5203-5215‚ 2004
※online上では9月3日より掲載,「Development」誌には11月1日号に掲載予定

本論文はBiology Reports Ltdの「Faculty of 1000」に重要論文として取り上げられております。

要旨:
「網膜前後軸方向の領域特異性は、CBF-1が決定する」
Chick brain factor-1 (CBF-1) は、ニワトリ網膜において鼻側特異的発現を示すwinged-helix型の転写因子で、網膜内の領域特異化に重要な役割を担っている。今回我々は、CBF-1の網膜耳側への異所的発現により、網膜鼻側特異的発現を示すSOHo-1、GH6及びephrin-A2、ephrin-A5の発現領域の耳側への拡大が見られ、逆に耳側特異的発現を示すCBF-2、EphA3についてはその発現が抑制されることを明らかにした。CBF-1によるこれら遺伝子の制御機構は多様であり、ephrin-A5はDNA結合依存的な機構によって、ephrin-A2はDNA結合非依存的な機構によって、SOHo-1、GH6、CBF-2、EphA3については両方の制御機構によって制御されている事が判明した。また、網膜において発生6日目以降、BMP-2がVentroptinと相補的に前後、背腹の2つの軸に対して勾配をもって発現する事も見い出した。Ventroptinは、BMP-2に対してもBMP-4と同様の中和活性を示した。CBF-1はBMP-2シグナルを阻害することを通してephrin-A2の発現を促進している事が明らかとなった。この研究によって、CBF-1が網膜領域特異化の遺伝子カスケードのトップにあり、網膜の前後軸方向の領域特異性を支配している事、異なるBMPシグナルが交替して発現し、背腹、前後の両軸における領域特異的な投射において、中心的な役割を担っていることが明らかとなった。