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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

共同利用研究

トレーニングコース - 開催リスト

生物画像データ解析トレーニングコース 2016

Organizers 加藤 輝(新分野創成センター・イメージングサイエンス研究分野):代表
木森 義隆(新分野創成センター・イメージングサイエンス研究分野)
亀井 保博(基礎生物学研究所 光学解析室)
小山 宏史,野中 茂紀,村田 隆(基礎生物学研究所)
Venue 基礎生物学研究所
Date Dec. 5-7, 2016
Link ウェブサイト (http://is.cnsi.nins.jp/biatc2016/)

 近年,顕微鏡やカメラの性能向上に伴い,多次元かつ大容量の画像データが得られるようになってきていますが,多くの生物学研究者にとって画像解析は難しい技法のひとつであると見做されている傾向があります.これは,顕微鏡の原理ならびに基礎的な画像工学に触れることでその障壁を引き下げることが可能となります.
 また,生物学研究者と画像工学研究者との共同研究も近年盛んですが,画像工学研究者側は自身の研究テーマとして「新しい画像解析技法の開発」に関心を払うのに対し,生物学研究者側は生物学的問題の解決を目的とし,技術の先進性を必ずしも要求しない点において,両者の目的が相反することがしばしば見受けられます.
 そこで,本トレーニングコースでは,実際に顕微鏡等の画像を扱っているが,その処理・解析については比較的初心者である生物学系の研究者の方々を対象に,「簡易な画像処理・解析は自分で遂行できるようになる」「技術的に高度な問題について専門家に適切な相談ができる基礎を体得する」ことを目指します.
•現在,顕微観察画像を撮影しているが,それらの画像が画像処理・解析に適しているか自信がない
•画像の解析・定量を行っているが,手法などが適切かどうか自信がない
•画像の解析・定量やファイル操作を逐次手動で行っているが,煩雑なため自動化したい
•画像の解析・定量について周りに適切な相談相手がいない
というような方を対象とした講習を実習を交えながら実施します.

 

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受講者数
21名(応募58名)

開催報告
 新分野創成センター・イメージングサイエンス研究分野ならびに基礎生物学研究の共催により、「生物画像解析トレーニングコース 2016」を12/5~7に開催しました。本コースは、顕微観察画像の取り扱いについて比較的初心者である生物系の研究者を対象に、画像処理・解析に関し「簡単な問題は自分で解決できる」あるいは「技術的に高度な課題についてはその道の専門家と適切な議論ができる」ための基盤を習得することを目標に定めています。第 4 回目の開催となった本年度開催分では、20 名の定員に対し 58 名の応募があり、本コースが設定する課題への需要の高さを窺わせるものとなりました。
 本コースの講義内容としては、解析に用いる画像を取得する際に留意すべき点から、画像処理・解析の基礎に至る一連の過程について講義を行いました。さらに、生物画像処理・解析のための代表的なソフトウェアの一つである ImageJ と、教材となる画像などを予めインストールした PC を参加者全員に貸与し、ImageJ の基本操作、画像処理・解析について実習を行いました。また、これら一連の作業を ImageJ マクロプログラムとして記述、自動化することで、近年の顕微観察画像の大容量化・高次元化に対応できるよう、簡単なプログラミングについての講義を行いました。
 コースの締め括りとして、各々の受講者が実際に取り組んでいる研究テーマの画像についてその解析例を示し、その方法について解説と議論を行いました。
 例年、参加者の方々から「たいへん」、「かなり疲れた」とご好評を頂いている内容ですが、画像解析技術をより身近なものとする上で一定の効果はあったものと思われます。また、生物画像解析にかかる共同研究の契機となればと期待致しております。

オーガナイザー 加藤 輝(新分野創成センター・イメージングサイエンス研究分野)
 

Program
12 月 5 日(月)

12:00 – 13:00 受付(基生研正面玄関にて)
13:00 – 13:10 はじめに(加藤)

講習のねらいについて説明,講師陣の紹介.

13:10 – 13:40 クイックスタート #1(野中)

いくつかの実例を使い実際に ImageJ による画像処理を実演します.

13:40 – 14:10 クイックスタート #2 (村田)

顕微観察画像のデジタル化についての講義

14:10 – 14:30 コーヒーブレイク
14:30 – 18:30 画像処理・解析の基礎 講義・実習(木森)

•ノイズ,コントラスト,分解能の意味
•画像の基礎(フーリエ変換と畳み込み演算,カーネルの畳み込みの意味)
•偽解像(エイリアス,モアレパターン)への注意
•前処理の基礎(カーネル処理(線形),非線形フィルタ(メジアン,バイラテラル))
•広視野と高分解能(パノラマ)
•定量化(2値化(自動閾値(大津の方法)),ラベリング,面積,数などの決定)

18:30 – 20:30 懇親会:受講者の自己紹介

 

12 月 6 日(火)

09:00 – 12:00 ImageJ マクロ講義・実習(野中)

マクロとは何か,そしてマクロの使い方,書き方について講義と実習を行います

12:00 – 13:00 昼休み

13:00 – 19:00 画像の定量化について 講義・実習(木森,加藤,小山)

定量的生物画像解析について実践的な演習を行います,現在のところ以下の題目を予定しています

1.  Intensityの定量

2.  動きの定量

3.  数の定量

4.  形の定量

5.  画像の特性(模様など)の定量

 

12 月 7 日(水)

09:00 – 10:00 講義「画像解析のための顕微鏡の基礎知識」(村田)

画像を処理する以前の段階である顕微鏡画像取得の時点で気をつけねばならないことについて講義します

10:00 – 10:30 講義「顕微鏡概論」(亀井)

先進の顕微観察技法について基礎生物学研究所にて共同利用可能な顕微鏡を中心に俯瞰します

10:30 – 10:45 休憩

10:45 – 12:00 基生研顕微鏡見学会(亀井)または復習

12:00 – 13:00 昼食

13:00 – 15:00 ディスカッション

各受講者の抱えている課題を取り上げ,皆で議論します(全員)

15:00 解散