基礎生物学研究所
現在:
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事長
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自然界において、生命は常に栄養枯渇の危険性に晒されており、飢餓環境下にいかに生き延びるかは、極めて重要な問題である。オートファジー(自食作用)はそのような生存戦略の1つである。細胞は外界からの栄養の供給が絶たれても、オートファジーを介して自己の細胞質やオルガネラを積極的に分解し、その分解産物をリサイクルすることで飢えを凌ぐことができる。また最近、オートファジーは大規模な分解系として、細胞内の浄化や、細胞内に侵入してきた病原性細菌の駆除など、生命活動の様々な局面で重要な役割を果たしていることが明らかとなりつつある。我々は、出芽酵母をモデル生物とし、オートファジーのメカニズムを分子レベルで理解することを目指して、研究を進めている。(2008年度当時のものです)
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年表
1996年
4月 大隅良典教授 着任。
(着任のご挨拶 基生研ニュースより)
研究スペース10部屋分(384㎡)が配分された。また教授の元に、助教授1・助手2・博士研究員1・技官1のポストが配置され、新たな研究部門の立ち上げが開始された。
野田健司博士 助手として着任、壁谷幸子技官 配属。前任の東京大学の大隅研大学院生は特別共同利用研究員として引き続き大隅研に参加(5名)。
7月 吉森保博士 助教授として着任。
10月 鎌田芳彰博士 助手として着任。大隅良典教授 総合研究大学院大学 生命科学研究科 教授を併任。
1996年着任当時
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1997年
6月 水島昇博士 日本学術振興会特別研究員として大隅研に参加。
11月 世界で初めてのオートファジーに関する国際会議を岡崎にて開催。
基礎生物学研究所 創立20周年記念誌 大隅良典教授による研究室紹介 PDF
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1998年
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに1名の院生が大隅研に参加。また、特別共同利用研究員1名が総研大に進学。
Noda, T. and Ohsumi, Y. (1998). Tor, a phosphatidylinositol kinase homologue, controls autophagy in yeast. J. Biol. Chern. 273, 3963-3966.
Mizushima, N., Noda, T., Yoshimori, T., Tanaka, T., Ishii, T., Gerge, M. D., Klionsky, D. J., Ohsumi, M., and Ohsumi, Y. (1998). A novel protein conjugation system essential for autophagy. Nature 395, 395-398. ←ノーベル賞受賞理由のKey publications 4報のうちの1報
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1999年
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに4名の院生が大隅研に参加。
Kirisako, T., Baba, M., Ishihara, N., Miyazawa, K., Ohsumi, M., Yoshimori, T., Noda, T. and Ohsumi, Y. (1999). Formation process of autophagosome is traced with Apg8/Aut7p in yeast. J Cell Bioi. 147, 435-446.
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2000年
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに3名の院生が大隅研に参加。
Kabeya, Y., Mizushima, N., Ueno, T., Yamamoto, A., Kirisako, T., Noda, T., Kominami, E., Ohsumi, Y., Yoshimori, T. (2000). LC3, a mammalian homologue of yeast Apg8p, is localized in autophagosome membranes after processing. EMBO J. 19, 5720-5728. ←本論文への引用は4000を超えている
Ichimura, Y., Kirisako, T., Takao, T., Satomi, Y., Shimonishi, Y., Ishihara, N., Mizushima, N., Tanida, I., Kiminami, E., Noda, T., and Ohsumi, Y. (2000). Ubiquitination-like system mediates novel protein lipidation, Nature 408, 488-492. ←ノーベル賞受賞理由のKey publications 4報のうちの1報 第一・第二著者は総研大大学院生。
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2001年
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに1名の院生が大隅研に参加。
Kihara, A., Noda, T., Ishihara, N. and Ohsumi, Y. (2001). Two distinct Vps34 phosphatidylinositol 3-kinase complexes function in autophagy and carboxypeptidase Y sorting in Saccharomyces cerevisiae. J. Cell. Biol. 152, 519-530.
Suzuki, K., Kirisako, T., Kamada, Y., Mizushima, N., Noda, T. and Ohsumi, Y. (2001). The preautophagosomal structure organized by concerted functions of APG genes is essential for autophagosome formation. EMBO. J. 20,5971-5981.
2001年の一般公開での大隅研の様子
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2002年
3月 吉森保博士 国立遺伝学研究所に教授として転出。
4月 水島昇博士 助手に着任。
Hanaoka, H., Noda, T., Shirano, Y., Kato, T., Hayashi, H., Shibata, D., Tabata, S., Ohsumi, Y. (2002). Leaf senescence and starvation-induced chlorosis are accelerated by the disruption of an Arabidopsis autophagy gene. Plant Physiol. 129, 1181-1193.
Suzuki, K., Kamada, Y., Ohsumi, Y. (2002). Studies of cargo delivery to the vacuole mediated by autophagosomes in Saccharomyces cerevisiae. Dev. Cell 3, 815-824.
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2003年
10月 鈴木邦律博士 助手に着任。
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに1名の院生が大隅研に参加。
2003年の大隅研集合写真
11月 第49回 NIBB Conference "Dynamic Vacuole in Plants"を開催。オーガナイザー 大隅良典。
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2004年
3月 水島昇博士 東京都臨床医学総合研究所に室長として転出。
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに1名の院生が大隅研に参加。
2004年の大隅研集合写真
6月 第19回基礎生物学研究所バイオサイエンストレーニングコース コースF「オートファジーのモニタリング方法」実施。
Ichimura,Y., Imamura,Y., Emoto, K., Umeda, M., Noda, T., and Ohsumi, Y. (2004). In vivo and in vitro reconstitution of Atg8 conjugation essential for autophagy. J. Biol. Chem., 279, 40584-40592.
Yoshimoto, K., Hanaoka, H., Sato, S., Kato, T., Tabata, S., Noda, T., and Ohsumi, Y. (2004). Processing of ATG8s, ubiquitin-like proteins, and their deconjugation by ATG4s are essential for plant autophagy. Plant Cell, 16, 2967-2983.
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2005年
6月 大隅良典教授 藤原賞を受賞。
10月 中戸川仁博士 助教に着任。
2005年の大隅研集合写真
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2006年
1月 野田健司博士 大阪大学に助教授として転出。
2月 ノーベル化学賞受賞者アーロン・チカノーバー博士の講演会を岡崎にて開催。
総合研究大学院大学生命科学研究科の大学院生として新たに1名の院生が大隅研に参加。
7月 大隅良典教授 日本学士院賞を受賞。
12月 The Fourth NIBB-EMBL Symposium "Biology of Protein Conjugation: Structure and Function"を開催(オーガナイザー 大隅良典・Winfried Weissenhorn)。
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2007年
基礎生物学研究所 創立30周年記念誌 大隅良典教授による研究室紹介 PDF
9月 大隅良典教授 日本植物学会学術賞を受賞。
2007年の大隅研集合写真
Suzuki, K., Kubota, Y., Sekito, T., and Ohsumi, Y. (2007). Hierarchy of Atg proteins in pre-autophagsomal structure organization. Genes Cells, 12, 209-218.
Nakatogawa, H., Ichimura, Y., and Ohsumi, Y. (2007). Atg8, a ubiquitinlike protein required for autophagosome formation, mediates membrane tethering and hemifusion. Cell, 130, 165-178.
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2008年
総合研究大学院大学 生命科学研究科長 を併任
研究室にて
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2009年
1月 大隅良典教授 朝日賞を受賞。
3月 大隅良典教授、中戸川仁助教、鈴木邦律助教、東京工業大学に転出。
退職記念講演会にて
退職記念の植樹
4月 大隅良典先生 基礎生物学研究所 名誉教授・総合研究大学院大学 名誉教授に。
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Suzuki, K., Kubota, Y., Sekito, T., and Ohsumi, Y. (2007). Hierarchy of Atg proteins in pre-autophagsomal structure organization. Genes Cells 12, 209-218.
Nakatogawa, H., Ichimura, Y., and Ohsumi, Y. (2007). Atg8, a ubiquitinlike protein required for autophagosome formation, mediates membrane tethering and hemifusion. Cell, 130, 165-178.
Ichimura, Y., Kirisako, T., Takao, T., Satomi, Y., Shimonishi, Y., Ishihara, N., Mizushima, N., Tanida, I., Kiminami, E., Noda, T., and Ohsumi, Y. (2000). Ubiquitination-like system mediates novel protein lipidation, Nature 408, 488-492.
Mizushima, N., Noda, T., Yoshimori, T., Tanaka, T., Ishii, T., Gerge, M. D., Klionsky, D. J., Ohsumi, M., and Ohsumi, Y. (1998). A novel protein conjugation system essential for autophagy. Nature 395, 395-398.
Takeshige, K., Baba, M., Tsuboi, S., Noda, T., and Ohsumi, Y. (1992). Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and its conditions for induction. J. Cell Biol. 119, 301-311.